車載情報機器の映像伝送はSTPから同軸ケーブルへ、マキシムがSerDesで両対応:車載半導体
Maxim Integrated Products(マキシム)は、車載情報機器向けSerDes(シリアライザ/デシリアライザ) ICとして、接続ケーブルにSTPと同軸ケーブルの両方を利用できる「GMSL SerDesチップセットファミリ」を発表した。
Maxim Integrated Products(マキシム)は2014年4月9日(米国時間)、車載情報機器において機器本体からディスプレイに遅延なく映像を伝送する用途などに用いるSerDes(シリアライザ/デシリアライザ) ICとして、接続ケーブルにSTP(シールド付きツイストペアケーブル)と同軸ケーブルの両方を利用できる「GMSL(Gigabit Multimedia Serial Link) SerDesチップセットファミリ」を発表した。
現在、車載情報機器の機器本体とディスプレイを接続する際にはSTPを用いるのが一般的だ。しかしSTPに替えて同軸ケーブルを使えれば、接続ケーブルのコストや重量を半減できることもあり、「自動車メーカーは使用を検討し始めている」(マキシム)という。
GMSL SerDesチップセットファミリは、STPと同軸ケーブルの両方を利用できるので、現行の車両のためにSTPを使った設計を行いながらも、次世代の車両では同じチップセットを使用してシームレスに同軸ケーブルに移行することができる。最高伝送速度は3.12Gbpsあるので、1920×720画素の24ビットカラー映像を遅延なく伝送可能。最大伝送距離は15mあり、「これは競合他社品の1.5倍に達する」(マキシム)としている。この他、スペクトラム拡散機能をICに集積しているので、外付けのスペクトラム拡散クロックを使わずにEMI(電磁妨害)を低減できている点もメリットになる。
動作温度範囲−40〜105℃。デジタルテレビ放送やBlu-rayディスクなどの著作権保護コンテンツを伝送するのに必要なHDCP機能を有する製品も用意する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「同軸ケーブル対応SERDESが最適解」、マキシムが車両内の映像データ伝送で提案
高解像のディスプレイを搭載する車載情報機器や、車載カメラを使った運転支援システムでは、車両内で発生するノイズの影響を受けずに高解像の映像データを遅延なく伝送する必要がある。アナログIC大手のMaxim Integrated Products(マキシム)は、コスト低減に有利な同軸ケーブルを利用可能な車載対応SERDES(シリアライザ/デシリアライザ)ICを提案している。 - 「不良率を5年で94%削減」、マキシムが車載事業拡大に向け品質向上に取り組む
車載事業拡大に向けた取り組みを進める大手アナログICベンダーのMaxim Integrated Products(マキシム)。「欠陥ゼロの精神」のもと出荷品質の向上に努めており、2013年の不良率は、2008年比で94%減って、数ppmのレベルまで低減できているという。 - Gbps時代を迎える車載情報系ネットワーク
現在、欧州の市場を中心に、従来よりも高速なネットワーク技術を用いる車載情報機器の開発が進められている。数年前までMbpsのレベルであったネットワーク通信速度は、現在では1Gbpsを優に超えるようになってきている。本稿では、まず車載情報機器のネットワーク技術にGbpsクラスの通信速度が必要になっている背景を説明する。その上で、高速の通信速度に対応する車載通信用ICの動向についてまとめる。