足りないインタフェースを補う、AEC-Q100準拠のカーナビ用拡張I/O LSI:東京エレクトロン デバイス TE7740RPF
東京エレクトロン デバイスの拡張I/O LSI「TE7740RPF」は、SPIやUARTなどのI/Oを1チップにまとめたもの。カーナビゲーション向けの製品で、車載用ICの標準規格AEC-Q100に準拠している。
東京エレクトロン デバイス(以下、TED)は2014年4月15日、自社開発品のブランド「inrevium(インレビアム)」として、カーナビゲーション向けに拡張I/O LSI「TE7740RPF」を発表した。
拡張I/O LSIはCPUでは足りないI/O(入りきらなかったI/O)を補うもので、TE7740RPFはSPIやUART、I2C、PWMなどを1チップにまとめている。車載用ICの国際標準規格であるAEC-Q100に準拠している点も特長だ。既にサンプル出荷を開始していて、サンプル価格は600円(税別)。2014年7月から量産出荷を開始する。
TEDは、TE7740RPFを開発するに当たり、カーナビゲーションメーカー各社にヒアリングを行った。そこでニーズの高かったI/Oを搭載したという。TE7740RPFは36ポートのGPIOを備えていて、それらを必要に応じてUART、SPI、I2C、PMW、パルスカウンタに切り替えて使用する。1ピンごとに切り替えが可能だ。動作電圧は1.8Vで、I/O電圧は3.3V。動作温度範囲は−40〜85℃。CPUとは8ビットパラレルで接続する。パッケージは81ピンFPBGAで、外形寸法は8mm角である。
販売個数は、今後3年間で200万個を目標としている。なお、TE7740RPFは、車載向けSoC(Sytem on Chip)で高いシェアを持つルネサス エレクトロニクスの「R-Carシリーズ」を意識して設計されているので、R-Carとの相性がよいという。
商社としての利点を生かして設計
半導体製品/電子部品などの販売を手掛けるTEDは、商社という特性上、顧客の声をヒアリングしやすい。「その利点を生かせば、ニーズをうまく拾った製品を開発できるのではないか」という考えから自社製品の開発を始め、約10年前からinreviumブランドとして展開してきた。
拡張I/O LSI「TE77xxシリーズ」もinreviumの1つである。「CPUにもっとI/Oを入れたいが、そうするとパッケージが大きくなり価格も高くなる」という顧客のニーズに応えて開発された。1990年代からTE77xxシリーズを供給していて、マルチファンクションプリンタ(MPF)やATMなど金融端末向けの「TE775xPF」は、累計販売個数が1000万個を超える。その他にもプリンタ向け、プロジェクタ向けと用途を絞って品種をそろえている。
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