消費電流360nAでリードスイッチ同等の高感度を実現する小型AMRセンサー:ハネウェル Nanopower
ハネウェルは2014年5月21日、消費電流を360nAに抑えながら7ガウスの磁気感度(標準)を実現した異方性磁気抵抗(AMR)センサーIC「Nanopower」(ナノパワー)を発表した。従来、ホールセンサーやリードスイッチが用いられている各種検出センサー用途に拡販する。
ハネウェルは2014年5月21日、消費電流を360nAに抑えながら標準7ガウスの磁気感度を実現した異方性磁気抵抗(AMR)センサーIC「Nanopower」(ナノパワー)を発表した。ホールセンサーと同等以下のサイズ、コストを実現したという。電力/ガス/水道メーターや白モノ家電、各種バッテリー駆動機器、セキュリティ機器など幅広い用途に向ける。
ホールセンサー、リードスイッチの代替提案も
ドアの開閉検知などに使用される磁気センサーは、主にホールセンサーとAMRセンサー、リードスイッチと3つの種類がある。最も一般的なホールセンサーは、垂直磁場を読み取るセンサーで、S極/N極といった磁極を判別することも可能だ。それに対し、AMRセンサーは、垂直磁場よりも面積が広くなる水平磁場を読み取る方式。検出面積を広く取りやすく高感度化しやすい利点を持ち、磁極の判別が不要で磁場の有無を検出する用途に向く。ただし、従来は、ホールセンサーよりもサイズが大きく、割高になる傾向があった。
もうひとつのリードスイッチは、磁気が近づくことで2本のリードが接合し電流が流れるという仕組みを利用したセンサーであり、消費電流ゼロで高感度を実現できる利点がある。ただし、稼働するリードを保護するガラス製の中空パッケージを使用するため、破損しやすいなどの欠点がある。
競合比「1/10の消費電流、2倍の感度」
今回、ハネウェルが開発したAMRセンサーは、ホールセンサーと同等のサイズを実現しながら、リードスイッチと同等の高感度を実現。加えて、消費電流を競合ホールセンサーやAMRセンサーと比べ「1/10以下」という360nAまで低減した。「新製品は、ソフト、ハードの工夫により、デューティ比を0.015%まで下げたことでナノアンペアレベルの消費電流を実現した。これまで消費電力の問題でリードスイッチを使用していた用途にも、AMRセンサーを適用できるようになった」とする。
消費電流360nAのSM351LTは、7ガウス(標準/最大11ガウス)の磁場で駆動する高感度性能を誇り、「競合のホールセンサーやAMRセンサーと比べても2倍以上、感度が高い」という。「感度が高いため、磁石を小型化できたり、磁石とセンサーICの位置合わせを柔軟に行えたり、多くの利便性が提供できる」という。
ハネウェルでは、消費電流を310nAにまで抑えた「SM3531LT」(感度=標準14ガウス/最大20ガウス)も同時に製品化。いずれの製品もパッケージは2.9×2.8×1.45mmサイズのSOT-23となっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 全方位の磁界検知で“盗電防止”? 村田製作所のAMRセンサー
村田製作所が「第17回 組込みシステム開発技術展(ESEC2014)」で展示したAMR(Anisotropic Magneto Resistance)センサーは、360度どの方向の磁界も検出できるものだ。電気/水道/ガスメーターなどで不正な外部磁界を検知するといった用途を想定している。 - ams、BMWに全面採用されるホールセンサーなどを紹介
amsは、「オートモーティブワールド2014」(2014年1月15〜17日、東京ビッグサイト)でBMWなど欧米の自動車メーカーに採用されるホールセンサーなど、独自の強みを持つ車載デバイスの展示を行った。 - 「3軸の磁界を実際に測るホールエンコーダは業界初」、austriamicrosystemsが車載向け製品化
3軸検出によって取り付け位置の機械的な設計自由度を高められることや、競合他社品に比べて高い検出精度が得られることが特長だという。