原因は予想外の場所に潜む!――修理は“気付き”が大切:Wired, Weird(2/3 ページ)
今回は、不具合原因が予想外のところに潜んでいた修理の事例を紹介する。修理したのは、1985年製のボードチェッカー。意外な不具合原因とともに、30年以上、現役を続けるチェッカーの長寿命設計にも驚いた。
大きな問題が……
さて、マザーボード単体をカードラックから取り出そうとしたら大きな問題が見つかった。マザーボードを固定しているアルミの板に基板のガイドが1カ所ネジ止めされていたが、そのネジの固定位置が、なんとマザーボードのコネクタ側にあった。つまり、図1のマザーボードの下でアルミ板とガイドがネジ止めされていた。マザーボードを取り出すためにはコネクタ16個をアルミ板に固定している32個のネジを全て外すしかない。また、マザーボードの50mm上方には操作パネルがあり、50mmの狭い場所で32個ものネジを全て外さざるを得ない。修理作業ではこの32個のネジを外す作業に一番時間がかかった。
なんとかネジを外し、マザーボードを取り出し基板のパターンからマザーボードの回路図を作成した。回路の一部を図2に示す。
図2の右側にある74LS139はCPU基板に実装されており、この信号でAM25LS2539の出力が制御されていた。AM25LS2539でドライブICのSN7606が出力されテスト基板に実装されるP13からP16の基板が選択されていた。P9からP12も同じ回路構成だった。
回路と動作が分かったので、マザーボード単体で5V電源を入れ、実装されたICの動作を確認したが、残念ながらマザーボードに実装されていたICは全て正常に動作した。P12のコネクタのハンダ付け不良の可能性もあったので、念のためにP12のコネクタの端子にハンダを盛り、接続を強化した。
今度は14枚目から
マザーボードには不良箇所が見つからなかったのでテスター本体にマザーボードを再度実装し、テスト基板を入れてチェッカーの動作を再確認することにした。マザーボードのコネクタのネジを1本ずつプラスチックのスペーサを通しアルミの板に固定した。この時、マザーボートを固定していたアルミ板と基板のガイドのネジは取外した。しかし実装したテスト基板のガタツキは全くなくしっかり固定できたので、取り外したネジは不要だと思われた。
テスト基板を16枚全部実装して通電し、自動でテスト基板を確認したら14枚目の基板からの動作不良に変わった。あれ? 最初の不具合確認では12枚目の基板からが動作不良だったのに14枚目からの動作不良に変わった。なぜ、不良の現象が変わったのか? 今までの作業で実施したことはチェッカーからマザーボードを外し、元へ戻しただけなのに?
元に戻しただけなのに?
この作業で不良位置が変わったということは、不良箇所はマザーボードやコネクタではなく、テスト基板に接触不良があったということになる。ネジやネジの固定加工に問題がありそうだ。
早速、マザーボードを再度分解して、固定ネジを確認した。
コネクタの固定ネジ32個を並べて確認したら、なんと1本だけ5mmほど長いネジが見つかった! これが動作不良の原因だ。
この長いネジでコネクタをしっかり締めこんだらネジの先端がテスト基板側に出っ張って、テスト基板と干渉して接触不良を起こす。
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