FM多重放送を使った次世代VICSが2015年4月に開始、ラピスが受信用ICを開発:車載半導体
ラピスセミコンダクタは、2015年4月開始予定のFM多重放送を用いた次世代VICS(Vehicle Information and Communication System)サービスに対応する受信用IC「ML7154」を開発した。
ラピスセミコンダクタは2014年9月17日、次世代VICS(Vehicle Information and Communication System)サービスに対応したFM多重放送受信用IC「ML7154」を開発したと発表した。既に価格1000円でサンプル出荷を始めており、2014年10月から量産を開始する予定。評価ボードとソフトウェア環境も用意し、充実したサポート体制も用意するとしている。
渋滞や交通規制などの道路交通情報を提供するVICSサービスの通信媒体として最も広く利用されているのがFM多重放送である。2015年4月に開始される、FM多重放送を用いた次世代のVICSサービスは通信の伝送容量が2倍に増えるため、渋滞情報だけでなく、イベントなどによる交通規制や緊急情報なども新たに配信されるようになる。また、これらの情報を活用したリアルタイムの広域道路検索(ダイナミックルートガイダンス)も可能になる。従来は、光ビーコンやITSスポットなどFM多重放送以外の通信媒体からの情報がないとダイナミックルートガイダンスは行えなかった。
ただしこの次世代VICSサービスのFM多重放送は、現行のFM多重放送受信用ICでは受信できない。そこでラピスは、多くのカーナビゲーションシステムメーカーに採用されているFM多重放送受信用ICの実績を基に、次世代VICSサービスに対応するML7154を開発した。
ML7154は、パラレルインタフェースを用いている従来品に対して、シリアルインタフェースを採用することで端子数を削減した。さらにパッケージも、QFPからQFNに変更。実装面積を従来品比で40%削減した。
その他の仕様は以下の通り。電源電圧は3.0〜3.6V。動作のための水晶振動子周波数は8.192MHzと16.384MHzの両方に対応する。動作温度範囲は−40〜85℃となっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 加速するITSの進化
ITSとは、ITを自動車に適用することにより、自動車の安全性や利便性、環境性能を高めるシステムの総称である。本稿では、まず、国内、米国、欧州におけるITSに関する取り組みについて、無線通信技術の規格化の状況を中心にまとめる。そして、今後ITSが進化していく上で重要な役割を果たすであろう、プローブ情報と電気自動車との関係性について紹介する。 - カーナビの進化を支える通信機能は諸刃の剣?
進化し続けるカーナビのセキュリティリスクは、その枠を超えて“自動車の安全性”にかかわる問題にまで発展する可能性があります。 - 広がるITSの輪、DSSSレベルIIへの対応で事故発生を抑制へ
日本で開発されているITSの1つにDSSS(Driving Safety Support Systems:安全運転支援システム)というものがある。DSSSは、主に一般道路で用いられるシステムで、道路に設置した路側センサーで得た交通情報を、光ビーコンを用いた路車間通信によって、車両に搭載されているDSSS対応車載機に送ることにより、ドライバーの認知/判断の遅れや誤りによる交通事故を未然に防ぐことを目的としている。