検索
連載

シリアルタイマーとフォトセンサーの組み合わせ Wired, Weird(1/2 ページ)

今回は筆者オリジナル回路「シリアルタイマー」とフォトトランジスタを組み合わせた2つの回路を紹介する。1つは明るい場所で強い光を検知する例、もう1つは暗い場所で弱い光を検知する例だ。前者は光線銃を使ったサバイバルゲームのようなゲームに使える。後者は夜間に危険な場所を表示する道路標識のような用途に使えるだろう。

Share
Tweet
LINE
Hatena

オリジナル回路「シリアルタイマー」

 これまで数回にわたり紹介してきたオリジナル回路「シリアルタイマー」は、簡易な2端子回路のタイマーで動作時間が長く駆動能力も大きいのが特徴だ。このタイマーに接続するセンサーは出力が微小で、出力時間も短かくて構わない。シリアルタイマーがセンサーの弱点をカバーするからだ。人感センサーを使ってセンサーライト作ったときにシリアルタイマーを用いたら、非常にシンプルで誤動作が無く長い時間出力する良いセンサーライトになった。

 最近、人感センサー基板を購入して、センサーを30秒のシリアルタイマーに接続してLEDライトを点灯させた。このセンサーライトを階段に設置したら、暗くなったときに階段の上り下りする時にLED照明を点灯し非常に好評だった。

 今回はシリアルタイマーとフォトトランジスタPTを組み合わせた2つの回路を紹介する。1つは明るい場所で強い光を検知する例、もう1つは暗い場所で弱い光を検知する例だ。前者は光線銃を使ったサバイバルゲームのようなゲームに使える。後者は夜間に危険な場所を表示する道路標識のような用途に使えるだろう。


明るい場所でのゲームなどに使える回路

 まずは、明るい場所でのゲーム用に使えるシリアルタイマーとフォトトランジスタの組み合わせの例を説明しよう。この応用回路例を図1に示す。


図1 シリアルタイマーとフォトトランジスタの組み合わせた応用回路例

 図1は以前紹介したシリアルタイマーの回路図で、中央のセンサーをフォトトランジスタPTへ変更したものだ。図1の右側の赤の破線で囲んだ回路がシリアルタイマーだ。簡単に動作を説明しよう。

 電源が投入されると負荷のLEDや抵抗とダイオードD1を通してコンデンサC1が急速に充電されタイマー用の電源がC1に確保される。そしてシリアルタイマーはセンサーからのトリガの信号入力待ちの状態になる。

 センサーのフォトトランジスタPTは図1の+と−端子間に接続され、PTには負荷としてDC12V電源と表示用LEDと300Ωの抵抗が直列接続されている。もしPTがオンしたら30mA程度の電流が流れる。しかし、30mAの電流はPTにとってはかなり重い負荷である。それは通常のPTでは電流の駆動能力は低く、明るい周囲環境下でも1mA程度しか電流を流せない。図1のような重い負荷ではPTが動作しても300Ωの抵抗の電圧低下は0.3V程度しかない。低下する電圧が低いのでシリアルタイマーはトリガされず出力はオフのままだ。このとき明るいライトでPTに光を当てるとその瞬間にPTは10mA程度の電流を流し、図1の+端子の電圧が3V程度下がる。0.5Vを超える電圧変化でシリアルタイマーがトリガされる。

 シリアルタイマーがトリガされるとトランジスタQ1がオンし、Q1のコレクタからFET Q2のゲートにC1の電圧(12V)が供給される。Q2の動作電圧は2.5V程度なのでQ2がオンして、LEDが点灯する。Q2がオンすることでコンデンサC1の電荷はQ1のベースを通して流れ続けフォトセンサーPTがオフしてもタイマー出力Q2はオンを維持することができる。

 その後コンデンサC1の放電が進みC1の電圧がFET Q2のゲートの動作電圧の2.5V程度まで低下するとFET Q2はオフし、LEDは消灯する。このときコンデンサC1はダイオードD1を通して急速に充電されて、初期状態へ戻る。

 このようにしてシリアルタイマーはトリガされると長時間オンし、負荷のLEDが明るく点灯する。出力のオン時間はC1の放電時間であり、C1が電源電圧からFET Q2のゲート電圧まで放電する時間で決まる。実際に作った基板とセンサー、LEDの接続の写真を図2に示す。


図2 実際に作った基板とセンサー、LEDの接続写真

 図2の中央下の基板がシリアルタイマーで、基板上の右側にある丸い部品がフォトトランジスタPTで、左の黄色のLEDが表示灯の代わりだ。DC電源は図2の(+)側に12Vと(−)側に0Vが接続される。このシリアルタイマーの基板は6mm×9mm程度のサイズだが、ダイオード、抵抗2個、コンデンサ、トランジスタ、FETのチップ部品が実装できた。

 この応用例はゲーム用に考えると分かりやすい。例えば光線銃でPTに強い光を当てるとLEDが10秒程度点灯し、光線がターゲットのPTに当たったことが分かる。図1の+出力と電源間にシリアルオシレータと発音体を接続してブザーを鳴らせば、もっと面白く遊べるだろう。この応用例は表示灯、センサー、タイマーを小さく作ることができるので、模造紙に絵を描いて的をつくり、的の位置にPTを取り付け、表示灯も模造紙の別の位置に置けば良い。的の数が多くてもPTを増やすだけで、PTを並列接続するだけで良い。

 光線銃にはシリアルオシレータを使用して、LEDをパルス点灯させた基板を作ってみた。これをピストル形状にして、押しボタンスイッチでLEDを点滅させれば、結構面白く遊べるだろう。受光のセンサーライトと発光の点滅ライトの写真を図3に示す。


図3 受光のセンサーライト(上)と発光の点滅ライト

 なお、点灯する時間を短くしたいとき、例えば1秒オンでは図1のC1を1uFにすれば良い。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       | 次のページへ
ページトップに戻る