パワー駆動回路にトッピング! シリアルオシレータの組み合わせ:Wired, Weird(1/3 ページ)
筆者オリジナル回路「シリアルオシレータ」を2つ組み合わせることで、便利で面白い応用回路ができる。今回は、オフ時間の長いLED点滅回路、トランスの騒音を減らす回路という2つの回路を紹介する。
今回は筆者オリジナル回路「シリアルオシレータ」を2つ組み合わせた便利で面白い応用回路例を報告する。シリアルオシレータは弛張発振の回路だが、大きな特徴は消費電流が少ないことにある。これはオンとオフが1:1ではなくオフ時間が長いことに起因している。この特徴を生かすことで、長期間動作する電池を使ったLEDを点滅させる位置表示器に簡単に応用できる。
例えば、150秒間隔でLEDを1秒間瞬灯させる発振回路はシリアルオシレータ1つで実現できる(関連記事:これも便利!! 負荷を一定時間動作させる「シリアルタイマー」)。しかし1回のLED瞬灯では見落とされる可能性が高い。見落としにくくするには点灯時に複数回点滅させれば良い。これは2つのシリアルオシレータを組み合わせることで実現できる。また点灯時間がさらに短くなるので消費電力を小さくできる。
今回は2つのシリアルオシレータの組み合わせで、LEDを複数回点滅させて消費電流を少なくした点滅回路について説明する。
150秒間隔で30秒間LEDを点滅させる回路
まずは、組み合わせの例として150秒間隔で15回(30秒間)LEDを点滅させる回路を作ってみた。図1に動作と回路図を示す。
図1の上部には動作の簡易なタイムチャート、下部には回路図が示されている。図1には左右に2つの発振回路があり、左側が長周期のシリアルオシレータでトランジスタQ2がオンになった時に右側の短周期のシリアルオシレータが動作してLEDが点滅動作する。
具体的な動作は、電源を投入すると165秒後にLEDが“チカッ”“チカッ”と15回点滅して消灯し、その後は120秒経過するとまたLEDが“チカッ”チカッ“と15回点滅するような動作を繰り返すことを目指した。
左右に2つのシリアルオシレータ
図1の回路動作を説明しよう。左側と右側に2つのシリアルオシレータがあるが、左側のシリアルオシレータ出力で右側のシリアルオシレータのトランジスタQ3のベース電位を制御していて、左側の出力がオンの時に右側のシリアルオシレータは発振できる。回路に供給する電源は単3電池を3個使用した4.5V程度の電源で十分だ。単3電池3本で3カ月程度の動作が可能になる。試作では5Vの電源で動作確認した。
図1左側のシリアルオシレータでは、150秒の発振周期で、120秒間オフ、30秒間オンの動作を行う。この周期はコンデンサC1の充電時間と放電時間で決定される。C1の充電時間がオフ時間となり、10MΩの抵抗で10uFのコンデンサを充電するので、時定数CRは100秒になる。また電源電圧の2/3+0.5Vに相当する電圧で充電が終了するように設定しているので、充電時間は1.2×時定数で約120秒になる。
C1の放電時間がQ2のオン時間となる。C1は主に1MΩと2MΩの並列の約660KΩで放電し、時定数CRは0.66MΩ×10uFで6.6秒になる。FETのゲートしきい電圧が約0.8Vの部品を選択すると、約3.8Vの電圧から約0.8Vの電圧まで放電するので放電時間は1.5×時定数で約10秒になる。しかし、実測は3倍の30秒だった。当初想定した放電時の時定数が違うようだ。これはD1の影響があり放電は2MΩの抵抗のみで、放電の時定数が約20秒と考えられる。
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