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ファンに振り回された!?――ユニット電源の修理(1)Wired, Weird(1/4 ページ)

今回は国産のユニット電源の修理例を報告する。電源の故障は設計不良が原因の場合が多い。だが今回の修理は、非常に良い設計の電源で、いつもと少し違った故障原因が潜んでいるようだ。

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 AC、DC問わず電源の修理依頼は高価な海外製の電源がほとんどだ。そんな中で珍しく、国内製の安価なDC電源の修理依頼があった。修理依頼品はTDKラムダ製ユニット電源「EWS300-5」で、5V単一出力の300W電源だった。不具合内容は“DC電源の5V出力が出ない”という内容だ。過去の電源修理で設計不具合や製造不良の悪い例に何度も遭遇していたため、「今回も同じような不具合が故障原因だろう」と思っていた。しかし、このDC電源は回路構成や基板の構造を調べれば調べるほど非常に良い電源設計が行われていることが分かった。

 今回はこのDC電源の修理例を報告する。


 修理を依頼されたDC電源の写真を図1に示す。ちなみに、この写真は修理完了後の写真だ。

図1 修理を依頼されたDC電源(修理完了後)
図1 修理を依頼されたDC電源(修理完了後)

 上下の端子間を接続している配線は動作確認時に取り付けたモニター配線で右上の緑色のLEDは正常に電圧が出力されている時に点灯するようになっている。

ファンだけが違う構成

 修理を依頼されたEWS300-5は2台あり1台はマレーシア製、もう1台は日本製だった。2つの製品を比較したら部品も構造も全く同じだったがDCファンだけが違っていた。この電源の入力電圧はAC100VとAC200Vの自動切換え仕様だった。まずは電源を分解して内部を確認したところ、2枚の基板とファンで構成されていた。電源の分解写真を図2に示す。

図2
図2 電源の分解写真 (クリックで拡大)

 図2の下の基板は端子台にAC100V/200Vを接続するがAC100VとAC200Vを自動で識別し、一次整流電源を作っていた。一次側の電解コンデンサは2個が直列接続され、AC100Vでは倍電圧整流で、AC200Vでは全波整流でDC280Vの電源を作っていた。上の基板はDC5Vを出力する基板で、補助電源(DC12V)とメイン電源(DC5V)を作っていた。ネットで電源の型名を検索したら、ブロック図が見つかった。図3に示す。

図3 「EWS 300シリーズ」のブロック図
図3 「EWS 300シリーズ」のブロック図 (クリックで拡大) 出典:TDKラムダ

 図3のブロック図からEWS300は一般的なスイッチング電源であると分かる。出力電圧のモニター機能と過電流、過電圧、過昇温のアラーム監視があった。

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