サンプル&ホールド型A-Dコンバータのサンプリング時間はどうやって決めるの?:Q&Aで学ぶマイコン講座(12)(1/3 ページ)
マイコンユーザーのさまざまな疑問に対し、マイコンメーカーのエンジニアがお答えしていく本連載。12回目は、中級者の方からよく質問される「サンプル&ホールド型A-Dコンバータのサンプリング時間はどうやって決めるの?」についてです。
素朴な疑問から技術トラブルなどマイコンユーザーのあらゆる悩みに対し、マイコンメーカーのエンジニアが回答していく連載「Q&Aで学ぶマイコン講座」。
今回は、中級者から多く寄せられる質問です。
マイコンに搭載されているサンプル&ホールド型A-Dコンバータを使おうと思いますが、サンプリング時間をいろいろ選択できると聞きました。サンプリング時間はどうやって決めるのですか?
サンプル&ホールド型A-Dコンバータは、測定したい電圧を一度、内部のコンデンサを使って取り込み(サンプリングし)、実際の変換はこのコンデンサの電圧を使って行うという原理です。したがって、このサンプリング処理が十分でないと正確な変換ができません(図1参照)。
一般的に、内部で電圧を保持するためにコンデンサが使われているため、コンデンサの充電時間がサンプリング時間になります。
コンデンサは、被測定電圧源から充電経路の抵抗成分R(被測定電圧源の出力抵抗成分も含む)経由で充電されます。その時のコンデンサの両端の電圧Vは図1(a)で示す計算式になります。したがって、ユーザーは、抵抗成分Rとコンデンサ成分Cを知っていなければなりません。Cはマイコンのデータシートに記載されていますが、Rは被測定電圧源の出力抵抗成分と配線の抵抗成分になりますので、ユーザー自身で調べる必要があります。
RとCが明確になったら、図1(a)に当てはめ、tを逆算するとサンプリング時間が求められます。
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