Spiceの応用解析――微分方程式を解く:SPICEの仕組みとその活用設計(22)(2/4 ページ)
今回は数値計算の代表的なツールであるSpiceの応用解析として、“アナログコンピュータ”を模擬して代表的な微分方程式を解いてみます。
2階の微分方程式を解く
今回対象とする微分方程式を4式に示します。
この式の意味するところは
「原関数を2階微分したものは原関数f(t)に係数(−ω2)を掛けたものに等しい」
というものであり、振動方程式と言われるものを簡略化したものです。
式が微分形式で記述されていますので5、6式のような積分形式に書き直します。
6式において
を2重積分器の出力とすれば、2重積分器の入力信号はY"ですから、
「2重積分器の出力(Y)に−ω2を掛けたものが積分器の入力信号(Y")になる」ように接続すれば良いわけです。この関係を図3に示します。(積分定数はそれぞれの積分器に初期値として設定します)
図3をみると、初段の積分器出力がY'、2段目の積分器出力がYになりますのでそれぞれの積分器の初期値は解曲線の傾斜(=Y')の初期値、解(=Y)の初期値であることが分かります。
Y'=Y=0とすると、Y'の積分値Yや微分値Y"はいずれも0となります。ですから関数の値は初期値から変化できず、水平軸を描きます。
とりあえず、Y'≠0、Y≠0として仮解析を実行してみるとSin形状の波形を得ることができましたのでこの曲線を
Y(t)=f(t)=VP・Sin(ωt+θ) …7式
と表します。また、この関数の導関数は
f'(t)=VP・ω・Cos(ωt+θ) …8式
f"(t)=-VP・ω2・Sin(ωt+θ) …9式
ですから、前述した4式の条件を満たしていることが確認できます。
関数の基本形を確認するために図3において初期値Y(0)を0(θ=0)、
そしてY'(0)=f'(0)=VP・ωをY'の初期値に設定します。
図4はf0=1KHz,VP=5VPとして各定数を設定したものですが、再現結果は良好です。
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