検索
特集

USB3.1 Gen2の高速データレート“10Gbps”で変わったテスト要件USB3.1試験の課題(1)(2/4 ページ)

3回にわたって、最新USB規格である「USB3.1」に対応するための試験について解説していく。第1回は、10Gビット/秒の高速データレートに対処するための課題を洗い出しながら、トランスミッタとレシーバのプレコンプライアンス試験の概要を紹介しよう。

Share
Tweet
LINE
Hatena

新しくなったコンプライアンスパターン

 USB3.1 Gen2ではエンコーディングに加えコンプライアンスパターンが新しくなったが、新方式のエンコーディングを実装するほどには難しいことではない。データは高次スクランブラ(PCIeに使用されていると同じ多項式)によりスクランブルされる。これと同じパターンがジッタおよびアイ高さの計測、さらにはレシーバ試験にも使用される。ジッタ計測ではデータパターンとともに独立のクロックパターンが必要だ。USB3.1 Gen2デバイスがトランスミッタ・コンプライアンスモードに入る際には、初めにUSB3.1 Gen1 CP0クロックパターンを送信する。CP9スクランブルデータパターンとCP10クロックパターンを得るためには、標準パターントグル法(ping.LFPSの入力による切替)により各パターンをステップスルー(順次に経由)することになる。


画像はイメージです

 高速データレートでは大きな損失が予想され、この点がチャンネル長を変更した理由の1つだ。Gen1リファレンスチャンネルの目標損失は2.5GHzで−20dB未満だが、Gen2では5GHzで約−23dBが目標だ。信号損失の大半は修復可能だが、レシーバ・イコライザ設計を複雑化する、あるいは想定ケーブル長を1mに制限する(5GHzで−6dBに相当)ことによりある程度の余裕が得られる。ターゲットチャンネル長を3mに維持することも可能だっただろうが、一層の設計複雑化、高電力化が避けられなかっただろう。

 議論すべきもう1つの変更項目がTx EQ(transmitter equalization)だ。Gen1のTx EQはデエンファシスを必要とした。現在は3TapモデルがTx EQのリファレンスとして利用され、規範的な(準拠すべき)Tx EQセット(条件設定)を含む。これにより23dBの長いチャンネルをサポートする際のマージンが確保できるので、ほとんどの(より高い)デターミニスティックジッタ(確定的ジッタ)が補償可能だ。

 ケーブルが長くなると高周波信号が顕著に劣化することはよく理解されており、このことが、信号の判読性能を確認するためにはアイダイアグラムのチェックが必須となる理由だ。ところが、USB3.1 Gen2では短いチャンネルでの確認が必要とされる。それでは、Gen2システムの正常動作を阻害する原因となる短チャンネル事象とは何だろうか。

 データレートが増大すると、イコライズ機能が本来の動作をもたらす隠れた力となる。イコライズ機能はレシーバへの過大入力に影響を受けやすく、信号対雑音比にも感受性が高い。これらの要因により、短チャンネルでは10Gビット/秒に対する試験が必須となる。試験は5Gビット/秒に対しても必要だが、5Gビット/秒の場合に短チャンネルで不具合が生じたという話を筆者は聞いたことがない。10Gビット/秒ではあり得るだろう。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る