SATA Gen3対応の産業向け2.5インチ型SSD、MLCで高信頼性を実現:TDK SDS1Bシリーズ
TDKは2015年5月、産業機器向けに、シリアルATA(SATA) Gen3に対応した2.5インチ型のSSD(Solid State Drive)「SDS1Bシリーズ」を発表した。新たに設計したコントローラICを搭載し、MLC(Multi Level Cell)でも高い信頼性を実現したことが特長だとしている。
TDKは2015年5月8日、SSD(Solid State Drive)の新しいラインアップとして、シリアルATA(SATA) Gen3(6.0ギガビット/秒)に対応した2.5インチ型SSD「SDS1Bシリーズ」を発表した。SATA Gen3対応の2.5インチ型SSDは、TDKとしては初めての製品となる。半導体製造装置や工作機械、情報端末、多機能プリンタ、スマートメーターなど産業用途に向ける。2015年8月に販売を開始する。価格は要問い合わせ。
SDS1Bシリーズには、TDKが開発したコントローラIC「GBDriver GS1」が搭載されている。コントローラICを新たに設計することで、NAND型フラッシュメモリの最新仕様を反映させ、MLC NANDフラッシュ搭載品でも書き込み速度を向上することなどが可能になる。SDS1Bシリーズでは、DRAMなどのキャッシュメモリは非搭載ながら、MLC NANDフラッシュ搭載品で440MB/秒の読み出し速度と、220MB/秒の書き込み速度を実現した。SATA Gen3に対応したことで読み出し速度が上がり、TDKの従来品に比べて4〜5倍になったという。MLC NANDフラッシュ搭載品の書き込み耐性は、128Gバイト品で約3000回としている。SLC(Single Level Cell) NANDフラッシュ搭載品の読み出し速度と書き込み速度は、それぞれ440MB/秒、340MB/秒である。
さらに、書き込み中に電源が遮断された場合でも、書き込み対象以外のデータが破壊されることを防止するなど、電源遮断耐性を強化した。従来品と同様、強力なエラー修復機能も搭載している。SDS1Bシリーズは、このような従来品の機能を維持、あるいは強化しつつ、書き込み/読み出し性能を上げて、MLC NANDフラッシュを搭載した安価な製品ラインアップを整えたことになる。
2.5インチ型SSD「SDS1Bシリーズ」。現時点での容量は、SLC NANDフラッシュ搭載品で15Gバイト〜120Gバイト、MLC NANDフラッシュ搭載品で30Gバイト〜250Gバイトとなっている(クリックで拡大)
TDKは、「従来、産業機器用途では、信頼性の点からSLC搭載品を使うことが多かった。ただ、WindowsなどのOSの容量が増えるにつれて、ストレージの容量が従来は1G〜2Gバイトでよかったものが、今は8Gバイト、16Gバイト、あるいはそれ以上が必要になるという声が多くなった。さらに、そこにユーザーのデータなどを入れるとなると、最低でも32Gバイト必要になる場合も少なくない。そうなると、SLC搭載品では値段が高すぎて、使いたくても使えないケースが出てくる。そこで、より安価なMLC搭載品を開発するに至った」と述べる。
SATA Gen3に対応した産業機器向けのSSDは、約1年前から市場に投入され始めた。TDKによると、Linuxを搭載した機器であればそれほどのデータ転送速度は必要ないといわれることもあるが、Windows搭載機器では、やはりSATA Gen3に対応したSSDへのニーズが高いという。
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