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IGBTの熱計算により 電力設計の有効性を最大化電源設計(2/4 ページ)

1つのダイで構成される半導体デバイスのジャンクション(接合部)温度の計算方法はよく知られています。ダイの電力損失を測定し、ダイとパッケージ間の熱抵抗を掛けて、ケースから接合部への温度上昇を計算すれば求められます。しかし、IGBTとダイオードを1パッケージに封止したパワーモジュールの場合はどうすれば良いでしょう。ここでは、IGBTとダイオードの熱抵抗を用いて平均およびピーク時のジャンクション温度を計算する方法を解説します。

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 ターンオン時、損失は、10% ICから10% VCE地点まで測定すべきです。これらの地点は標準的ですが、任意のため必要であれば他の地点を使うことも可能です。さまざまな間隔を測定するために、どの地点を選んだ場合でも、さまざまなデバイスのデータを同じ基準で比較するために一貫性を保つことが重要です。電力は、オシロスコープ波形から計算されます。これは一定ではないため、平均電力が必要となり、電力波形の積分値を計算しなければなりません。これはトレース図の下に記されてあり、図2の場合は674.3 µWs(ジュール)です。


図3:IGBTターンオフ波形 (クリックで拡大)

 同様に、ターンオフ損失は下記のように測定します。


図4:IGBT導通損失波形 (クリックで拡大)

 導通損失は同様の方法で測定されます。ターンオン損失の終点から測定を開始し、ターンオフ損失の始点で終了しなければなりません。導通損失のタイムスケールはスイッチング損失よりもはるかに長いため、正確に測定することが困難な場合があります。


図5:ダイオードのターンオフ波形(クリックで拡大)

 ダイオードのリカバリー損失データは、ダイオードに逆電流(Irr)が流れる時点でのサイクルの一部で捕捉しなければなりません。通常、逆電流(Irr)のピークの10%地点で測定されます。


図6:ダイオードの導通損失波形 (クリックで拡大)

 ダイオードの導通損失は、IGBTパッケージの総損失を計算するために必要な最後の損失成分です。全ての損失が測定された時点で、その操作モードの時間に基づいて波形全体へ反映する必要があります。これはオン・セミコンダクターの「AND9140」アプリケーションノートに詳しく書かれています。エネルギーが追加および組み込まれた時点で合計し、スイッチング周波数を掛けることで、ダイオードおよびIGBTの電力損失を得られます。

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