モーター技術者の登竜門、高効率・長寿命のブラシレスDCモーターを理解しよう:めざせ高効率! モーター駆動入門講座(2)(2/4 ページ)
前回はモーターが回転する原理、モーターをどうやって回転させれば高効率化を実現できるかついて基本的知識を紹介した。2回目となる今回は、モーターの進化と種類に始まり、モーターを扱う技術者であれば避けては通れない“高効率・長寿命を実現できるブラシレスDCモーターの高効率駆動”に論点を当てる。
ブラシレスDCモーターの位置付け
ブラシレスDCモーターを知るために駆動方式で分類してみよう(図1)。
最初に使用する電源で分けるとDC(直流)モーターとAC(交流)モーターに分けることができる。さらに、そのモーターの回転原理(トルクの発生方法)で次のように分けることができる。(ここでは、特殊なモーターは除いている。)
ブラシレスDCモーターの構造
連載第1回で、永久磁石型のAC同期モーターを用いた回転原理について説明した。三相交流電圧を用いて回転磁界を作り、回転子である磁石(ロータ)がそれに同期し回転する。しかし、この回転磁界と回転子の同期回転は、回転子の位置を検出しておらず、オープンループで駆動されている。また、回転磁界は商用周波数の一定速度で回転している。このため、起動に工夫が必要であり、重負荷において脱調(回転磁界と永久磁石である回転子が同期せず、回転が停止)することがある。
これに対して、ブラシレスDCモーターの電源は直流であり、前回説明した3相交流から作る回転磁界を、半導体素子(6つのMOSトランジスタ)をスイッチすることにより、コイルに流れる電流を切り替えて(転流)作っている(図2-左)。しかもブラシレスDCモーターは、磁石の位置をホール素子などで検知して、常にトルク発生に最適なコイル相を決定するため、起動時や重負荷時おいて脱調することはない。
基本的な、3相ブラシレスDCモーターの基本構造図が図2-右になる。
3相ブラシレスモータは、スター結線された3つコイルを固定子(ステーター)とし、回転子(ロータ)を磁石で構成され、磁石のN極とS極を検知するためのホール素子が各コイル間に配置される。これはコイルから発生する磁力の影響をさけ、回転子の磁力を検知しやすくしている。回転子の軸は、軸受であるベアリングやスリーブのみと接触し、電気的な接触はない。ゆえに、低ノイズ、高速回転可能、長寿命の特長を持つ。
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