3225サイズでサージ電流耐量5000Aを実現――積層チップバリスタ:TDK MLVシリーズ/DRJシリーズ
TDKの積層チップバリスタ「MLVシリーズ」は、DC65V対応で、サージ電流耐量5000Aという特性を、3.2mm×2.5mm(3225サイズ)で実現している製品だ。また、DINレール取付専用のユニット型電源「DRJシリーズ」も発表した。この製品は、高さを従来の97mmから75mmにしたことが特長となっている。
TDKは2015年6月、積層チップバリスタ「MLVシリーズ」を発表した。最大許容回路電圧はDC65V。3.2mm×2.5mm(3225サイズ)のケースサイズで、8/20μsのサージ電流耐量が最大5000Aと、高い耐サージ電流特性を実現しているのが、最大の特長である。電流耐性は、8/20μsサージ電流1回印加時で5000A、10回印加時で3500A(いずれも最大値)となっている。現在はサンプル出荷中で、サンプル価格については要問い合わせ。
MLVシリーズは、新組成の高性能セラミック材料を採用し、素子設計を見直すことで、3225サイズで5000Aのサージ電流耐量を実現している。これまでは、5000Aのサージ電流耐量が必要な場合には、5.7mm×5.0mm(5750サイズ)を使うしかなかった。それが3225サイズと一気にふた回りも小型化したことで、実装面積を3分の1に抑えられるようになる。
新シリーズを開発した背景には、電源ラインに使われているディスク形バリスタを、チップに置き換えていくという動きがある。「表面実装部品(SMD)が普及してきたので、脚付形のトランスや電解コンデンサなどがチップ部品に変わってきている。バリスタだけ脚付形というのは都合が悪いので、バリスタもチップに置き換えていきたいという流れだ」(TDK)。TDKによれば、価格はディスク形バリスタの方が安価だが、積層チップバリスタのニーズも順調に増えているという。
高さを75mmに、DINレール取付用ユニット型電源
TDKは、DINレール取付用ユニット型電源「DRJシリーズ」も併せて発表した。出力電力が15W、30W、50W、100Wの4種類がある。従来品である「DLPシリーズ」に比べて、高さを97mmから75mmと低くしたことが特長となっている。従来品の「DLP100-24-1」(出力100W)に比べて、45%小型化した。効率も、従来品の83%から90%に向上している。動作温度も、DLPシリーズの50℃から、55℃に上がった。
端子については、ブロック端子だけでなくヨーロッパ端子(スクリュー方式ではなく、スプリング方式)もそろえた。ブロック端子は、振動によってネジが緩んでしまう場合がある。そうなると、ネジを締め直さなくてはいけないが、線を差し込むだけのヨーロッパ端子ではそうした手間はかからない。
DRJシリーズは2015年7月より受注を開始し、8月より量産出荷を開始する。価格は個別対応となるので、要問い合わせ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- いまさらだけど電気・電源についておさらいしよう
【超入門記事です】電源の良しあしは、回路全体の動作の安定性や精度を左右する……。本連載では、電気のお話からはじまり、電源、電源回路の基本的な考え方と、その設計に必要となる基礎知識についてイチから解説する。 - コンデンサの基本、選択のポイント
今回は、コンデンサを取り上げる。受動部品の中で、コンデンサほど種類の多いものはない。それだけ、アプリケーションに応じてコンデンサを適切に選択することが重要だと言える。本稿では、まずコンデンサの基本的な特性項目と種類別の特徴について説明する。さらに、各種用途においてどのようなコンデンサを選択すればよいのか、そのポイントを紹介する。 - ソレノイドを使いこなす
ソレノイドを利用したシステムを構成するには、その特性を十分に理解するとともに、どのような制御回路方式を採用すべきかを熟慮しなければならない。本稿では、閉ループの電流制御方式を用いた設計の例を具体的に示す。 - ESD保護デバイスの性能を見極める
電子機器におけるESD対策は、今も昔も変わりなく、設計者にとっての大きな課題である。今日では、最終製品において、従来よりも高いESD耐性が求められるケースも少なくない。しかし、やみくもにESD保護デバイスを追加してもコストの上昇を招くだけだ。そうならないためには、ESD保護デバイスの性能を正しく評価し、必要十分な保護を適用する必要がある。