窒化ガリウムの時代が到来、シリコンに対する優位性がより明らかに:近づきつつあるムーアの法則の限界(3/3 ページ)
シリコンプロセスは、時代の急激な変化により、効率的なパワー変換を行う適切な手段として十分な役割を果たせなくなりつつある。そのため、エレクトロニクス業界は、新しい種類のパワー半導体への依存を徐々に増やしている。そこで、本記事ではパワーシステム設計の将来を形作るプロセス技術の1つとして台頭しつつある、窒化ガリウム(GaN)について検証する。
GaNの採用が進んでいない理由は?
既に述べたように、GaNは、シリコンとは比較にならない、特にパワーアプリケーションに非常に適した重要な特性をいくつか備えています。しかし、これまでのところパワーデバイス素材としてのGaNの進歩は緩やかです。過去に開発されてきた他の半導体技術と同様、成熟段階に達するまで時間がかかりました。
どの半導体技術であれ、全体に高度の均一性と再現性を提供できることが重要ですが、以前はこれがGaNの課題となっていました。GaNの生産の歩留まりの低さにより、シリコンは性能面での不足分を補って余りあるほどの多大なコスト優位性をもたらしてきました。これにより、シリコンはパワー半導体生産の主流を維持できています。とはいえ、GaNの製造プロセスは改善しつつあり、次第に歩留まりが向上し、信頼性も高まっています。
GaNは、シリコンデバイスの既存の製造インフラを活用できるという優位な立場にあります。同じ装置にいくつかの簡単な製造工程を追加するだけで、既存の6インチおよび8インチCMOSシリコン製造プロセスに応用でき、さらに生産拡大のために必要であれば12インチプロセスに拡張できます。
標準のCMOSシリコン製造がウエハーの大型化にシフトする中、従来のシリコンデバイスのために設計された小径ウエハー対応製造インフラを長期間運用できる現実的なチャンスを与えます(それがなければ廃棄処分となるでしょう)。このことは、古い半導体生産設備がGaNの生産に切り替えることにより第2の人生を得られることを意味します。
このようにコストダウンを図ることにより、GaNに対する新たな道筋が開き始めます。1960年代後半から1970年代初めにかけてシリコンベースのICがそうであったように、GaNの需要増大が生産量の拡大と単位コストの低下をもたらし、市場は雪だるま式に拡大するでしょう。
新時代のパワーエレクトロニクスにおいて大きな役割を
今後数年間で、GaNは、比較的小規模な生産施設や実験室でのみ生産されるニッチの半導体技術とみなされることはなくなるでしょう。そして、商業的に生き残れる大規模ソリューションとしての地位を築き、それによりシリコンと同等の価格でデバイスを製造できるようになるでしょう。
結論として、電力需要は、積年の半導体技術を勝る勢いで増大しており、それに対処するには何らかの行動を起こさなくてはなりません。GaNをパワーシステム設計に応用すれば、シリコンデバイスを上回る劇的な性能向上を達成できます。それにより、GaNが新時代のパワーエレクトロニクスにおいて大きな役割を果たし、エンジニアが効率性の向上、フォームファクターの小型化、スイッチングスピードの高速化を実現するデバイスを入手できるようになることは確実です。
製造技術の大規模な改善により、GaNの生産コストは削減できるでしょう。したがって、現段階で、GaNは量産の準備が整った1つのデバイスとみなすことができます。
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