従来比30%増、Q値21を実現した高周波インダクタ:TDK MHQ0402PSA
TDKは、0.4×0.4×0.2mmサイズの高周波回路用インダクタ「MHQ0402PSA」シリーズを開発したと発表した。従来製品と比較して30%高いQ値である21を実現。スマートフォンやタブレット端末などの無線回路への搭載に適しているという。2016年1月から量産を開始した。
TDKは2016年1月26日、0.4×0.4×0.2mmサイズの高周波回路用インダクタ「MHQ0402PSA」シリーズを開発したと発表した。同社の従来製品「MLG0402Q」シリーズと比較して30%高いQ値である21(1GHz時)を実現。小型化と高いQ値の両立が求められるスマホやタブレット端末などの無線回路への搭載に適しているという。
MHQ0402PSAシリーズは、2016年1月より量産を開始。定格電流は180〜600mA(最大値)、直流抵抗は0.15〜1.20Ω(最大値)である。サンプル価格は1個当たり20円とし、月産5000万個を予定している。同社は、「MLG0402Qシリーズはスマホ1台当たりだと約100個搭載されるので、1年後には月産3億個を目指したい」とした。
体積比70%減、実装面積で53%減を実現
Q値とは、任意の周波数における誘導性リアクタンスと抵抗の比率を数値化したものである。Q値が高ければ高いほど低損失になり、機器の低消費電力化に貢献する。Q値はインダクタのサイズに比例するため、大きければ大きいほど数値が高くなる。しかし、スマホやタブレット端末といったモバイル機器は、多機能化を背景に省スペース化が課題になっている。つまり、高いQ値と小型化が両立することが求められるのだ。
MHQ0402PSAシリーズは、従来製品より小型化もしている。1GHz時に35という高いQ特性を持つ従来製品「MHQ0603Pシリーズ」の最小サイズと比較すると、体積比70%減、実装面積で53%減を実現。小型で21のQ値を両立できた要因は、「独自の材料開発やコイルパターン設計の最適化」(同社)が挙げられるという。
現在のインダクタンス範囲は、0.2〜8.2nH。今後は22nHまでラインアップを拡大する予定とし、さらに小型で高いQ特性を持つ製品の開発を進めていくとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 双方向動作の高電圧昇圧コンデンサチャージャー
リニアテクノロジーは、システムバックアップのため、自動的に降圧レギュレータに切り替わる双方向動作の高電圧昇圧コンデンサチャージャー「LTC3643」を発売した。 - スイッチング周波数2.1MHzの車載LEDドライバ
サイプレス セミコンダクタは2016年1月、車載向けLEDドライバ「S6BL111A」を発表した。 - 0.6Vまで降圧する同期整流型降圧レギュレータ
インターシルは、0.6Vまでの低い電圧に降圧する高集積同期整流型降圧レギュレータを発表した。高いピーク効率を誇り、実装面積を低減するISL8018、SL8003Xファミリの5製品だ。 - 直流重畳特性に優れた材料を使用したインダクタ
太陽誘電は、スマートフォンやウェアラブル端末などのデジタル機器の電源回路向けチョークコイル用途として、メタル巻線チップパワーインダクタ「MCOIL ME」シリーズを発表した。