広範囲の負電圧から正電圧を得る回路:Design Ideas パワー関連と電源(1/2 ページ)
今回は、昇圧型コンバーターICで負電圧から正電圧を高い効率で作り出せる回路を紹介する。
利用するのは標準的な昇圧型DC-DCコンバーターIC
負電圧しか用意されていない回路で、正電圧が必要だとしよう。このような場合、図1の回路を使えば負電圧から正電圧を高い効率で作り出せる。利用するのは標準的な昇圧型DC-DCコンバーターICである。昇圧型コンバーター回路は、入力電圧よりも高い電圧を出力する。図1における出力電圧(VOUT)は5Vで、入力電圧(VIN)の−2V〜−12Vよりも高い。従って、この回路の動作も一般的な昇圧型コンバーターと同様と考えられる。
図1では昇圧型DC-DCコンバーターICとして「EL7515」を採用した。コンバーターICの接地端子である1番ピンと2番ピンは、ともに負電圧入力に接続する。この回路の接地電位は負電圧入力より電位が高い。このため、接地電位を通常の昇圧型コンバーター回路における「正電位」の入力電圧として扱える。
従って出力電圧VOUTは、VOUT=VFB×(R2/R1)=1.33V×(37.5kΩ/10kΩ)=5Vと求められる。なお、VFBはR1の両端に生じる電位差である。
pnpトランジスタQ1およびQ2は基準電位変換器として機能する。すなわち、接地電位を基準とした5Vの出力電圧VOUTを、負電圧入力を基準としたフィードバック電圧VFBに変換する役割を果たす。このほかトランジスタQ1とQ2には、温度変化や電圧低下による影響を取り除く機能もある。
負電圧入力が低下すると、Q1に比べてQ2に流れる電流が大きくなり、Q1とQ2にかかるオフセット電圧の差が大きくなってしまう。出力電圧の安定性を高めるためには、Q1とQ2の動作電流が入力電圧範囲内で同じ程度になるように設計しておく必要がある。
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