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「Thread」のネットワークトポロジーと形成手順IoT時代の無線規格を知る【Thread編】(3)(2/6 ページ)

ホームネットワーク向け無線規格として注目を集める「Thread」を解説する本連載。今回は、Threadのネットワークトポロジーとネットワーク形成手順の基礎について解説していく。

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MLEメッセージ


画像はイメージです

 MLEメッセージは、安全な無線接続の構築と構成、隣接デバイスの堅持、Threadネットワーク内でデバイス間のルーティングコストの維持管理に使われる。

 シングルホップのリンク内ユニキャストと、ルーター間のマルチキャストで通信され、トポロジーや物理的環境変化に対応して、隣接デバイスとのリンクを特定、構成、安全保持を行うことに使われる。使用する無線チャンネルやPAN ID(パーソナルエリアネットワークを特定する番号)といった、Threadネットワーク内全体で使われる構成パラメータの配布にも使われる。これらのメッセージは、MPL(Mozilla Public License)を使った、簡易なフラッディングによる配布である。

 MLEメッセージは、2つのデバイス間のルーティングコストを割り出す際、非対称のリンクコストになることも考慮されている。非対称のリンクコストは、802.15.4ネットワークではよくあることなので、双方向の通信信頼性を確保するために、双方向のリンクのコストを考慮するのは非常に重要である(参照:IETFの内容を拡張)。

ルートの発見と修復

 これまでの802.15.4低電力ネットワークは、オンデマンドでの経路発見が共通で使われていた。しかし、ルート発見は、ネットワークのフラッディングが求められるので、実際にはネットワークにはオーバーヘッドが生じ、帯域も使用するので負担が大きい。

 Threadネットワークでは、全てのルーターは定期的にシングルホップのMLEアドバタイズパケットを交換し、その中に全ての隣接ルーターとのリンクコスト情報と、全てのThread内の他のルーターとの経路コスト情報を含めている。

 このローカルでの定期的なアップデートにより、全てのルーターはThreadネットワーク内の全てのルーターとの経路コスト情報がアップデートされる。そのため、オンデマンドでの経路発見は不要となる。ある経路が使い物にならなくなった場合、ルーターは目的地までの次に最適な経路を選択することができる。


Threadネットワークにおける、さまざまな経路のリンクコストの例 (クリックで拡大)

 この自己修復ルーティングメカニズムにより、他のルーターがThreadネットワークを離脱したときもルーターは素早く検知でき、最適な経路を計算してThreadネットワーク内の他の全ての接続性を保つ。それぞれの方向におけるリンククオリティーは、隣接デバイスから受信時のリンクコストが基になる。

 受信時のリンクコストは、0から3のリンククオリティーにマッピングされる。リンククオリティー=0はリンクコストが不明なのを示す。リンクコストは一定の受信レベルを超えた受信データ取得時のRSSI(Received Signal Strength Indicator)を基に測る。

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