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漏れインダクタンスを使用したフライバックコンバーター(1)ハードウェア概要電源設計(4/5 ページ)

電圧モード(VM)で動作し、連続導通モード(CCM)で駆動されるフライバックコンバーターの周波数応答は、2次システムの応答に相当します。解析結果の大部分から、伝達関数の品質係数が各種損失(経路の抵抗成分、磁気損失、リカバリー時間に関連する損失など)によってのみ影響を受けることが予測される場合、漏れインダクタンスに起因する減衰効果がもたらす影響は非常に限定的です。ただし、過渡シミュレーションでは、漏れインダクタンスが増大すると出力発振が減衰することが予測されます。文献に記載されている多くの式はこの効果を反映していないので、新しいモデルが必要となりますが、本稿はこのモデルについて説明します。

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簡潔なサイクル単位モデル

 上記の計算結果と波形を検証するために、40%のデューティ比で動作し、60Wをわずかに上回る電力を供給する簡潔なフライバックコンバーターをキャプチャーしました。電気回路図を図5に示します。漏れインダクタンスは50μHに設定されており、600μHの1次側インダクタンス(8.3%)を想定している場合は、疎結合のトランスを意味することになります。


図5:この簡潔モデルはフライバックコンバーターのシミュレーションに使用でき、基本的な波形を明示する (クリックで拡大)

図6:上記の全イベントを示す波形 (クリックで拡大)

 シミュレーションから、C2両端の電圧がVclpに等しい以下の動作ポイントを抽出できます。

Ip=1.77A

Iv=672mA

Vclp=528V

 (14)で表記される漏れインダクタンス磁化時間について、176ナノ秒の測定結果が得られました。したがって、65kHzのスイッチング周波数を使用する場合、デューティ比d1は次のようになります。

 理論的には、トランスの巻線比Nが0.25の場合、このフライバックコンバーターの出力電圧は、式(20)の定義に従って20Vに等しくなります。代わりに式(21)を適用する場合、出力電圧は、実際は次式に等しくなります。

 シミュレーションの出力電圧は図7に示す通りであり、この値が正しいことを確認できます。シミュレーションで使用したダイオードの順方向電圧降下が0Vに等しいことに注意してください。ダイオード・モデルで拡散パラメーターNを10mに設定すると、この結果を得ることができます。


図7:上記の全イベントを示す波形 (クリックで拡大)

 漏れインダクタンスのリセット時間が分かれば、出力電流も高い精度で計算できます。シミュレーションの結果、672mAの谷電流および、672mAのピーク電流という値が得られました。式(16)を適用し、528Vのクランプ電圧(図5でC2両端の電圧)を考慮すると、漏れインダクタンスのリセット時間は次式のようになります。

 また、この値は次のデューティ比に対応します。

 スイッチがオフになってから193ナノ秒後に漏れインダクタンスがリセットされた時点の2次側ピーク電流を推定することもできます。式(13)を適用すると、次の値が得られます。

 図3の下側にある波形から、曲線を形成するさまざまな領域を計算することで、ダイオード内および負荷内を循環する平均電流を求めることができます。

 数値を代入すると、次のようになります。

 この値は図8に示す波形ビュワーで得られたものです。


図8:シミュレーションで得られる2次側平均電流はピーク電流およびさまざまな低デューティ比のd1、d2に依存 (クリックで拡大)

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