検索
連載

絶縁型DC-DCコンバーターによる電力安定化DC-DCコンバーター活用講座(5) 電力安定化(5)(3/4 ページ)

絶縁型DC-DCコンバーターでの電力安定化について、そのトポロジーごとに解説します。今回、取り上げるのは、フライバックとフォワードのコンバータートポロジーです。

Share
Tweet
LINE
Hatena

フォワードDC-DCコンバーター


図3:フォワードコンバーターの簡略回路図と特性出典:RECOM(クリックで拡大)

 フォワードコンバーターはフライバックトポロジーと同じように見えますが、まったく異なる動作を行います。入力電圧は、トランスの巻数比に応じて安定化出力電圧に変換されます。簡略回路図と関連する電圧および電流波形を図3に示します。

 フライバックトポロジーと同様に、S1が閉じているとき、インダクタンスがLPのトランスT1の1次巻線を通って増加率VIN/LPの電流IS1が流れます。1次側電流が増加するにつれて、1次巻線と2次巻線の間の結合により、VIN/Nの電圧振幅でトランスT1の2次側電流が誘導されます。2次側電流は整流ダイオードD1と出力インダクターL1を通って流れ、VIN/(L1N)のレートで増加します。

 また、この電流は負荷RLと出力コンデンサーC1にも流れ込みます。このため、コンデンサーC1の両端の電圧は、レギュレーションの上限しきい値を超えて「ストップ」信号が送られるまで上昇します(通常、帰還信号はオプトカプラを介して送られます)。次いで、1次側のコントローラーによってS1が開き、電圧源からの電流が遮断されます。リセット巻線とダイオードD3によってトランスの磁場崩壊が阻止され、電流はS1が閉じているときに増加するのと同じレートで減少することができます。

 よって、S1が開くと、2次巻線で極性が反転し、負電流はVOUT/L1のレートで減少し、キャッチダイオードD2とインダクタンスL1を通って流れ、最終的に負荷とC1に流れ込みます。C1の両端の電圧は、レギュレーションの下限しきい値に達するまで低下します。しきい値に達すると「スタート」信号が送られ、S1が再び閉じて、新しいサイクルが開始されます。

適用されるエネルギー式は以下の通りです。

並び替えると次のようになります。

 フライバックコンバーターと異なり、フォワードコンバーターはトランスのコアの空隙にエネルギーパケットを蓄えるのではなく、トランスの働きによって1次側から2次側に連続的にエネルギーを伝送するので、コアの空隙は不要で、それに関連する損失も放射EMIも生じません。

 また、ヒステリシス損失がそれほど重要ではないため、コアのインダクタンスを大きくすることもできます。ピーク電流が小さくなるので、巻線とダイオードの損失が小さくなり、入力および出力のリップル電流が減少します。従って、同じ出力電力では、フォワードコンバーターの方が効率的です。

 短所は、部品コストが上がることと、コンバーターが不連続モードになり、それに伴って伝達関数が大きく変化するのを防ぐために、最小負荷要件があることです。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る