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入力電圧範囲の制限と同期整流DC-DCコンバーター活用講座(10) 電力安定化(10)(1/2 ページ)

今回の記事では、DC-DCコンバーターに入力する電圧範囲の制限と同期整流について解説します。

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入力電圧範囲の制限

 DC-DCコンバーターの入力電圧範囲は、回路トポロジーと使用部品によって決まります。コンバーターの入力電圧とデューティサイクルは互いに反比例の関係にあり、入力電圧が増加するとデューティサイクルは低下します。さらに、最小デューティサイクルは、パワー・スイッチの最大ピーク電流とその最大逆電力定格に依存します。デューティサイクルが小さい場合は、平均入力電流に比べてピーク電流が大きくなり、ほとんどのトポロジーでは、電流が突然遮断された時にスイッチング電圧が最大となります。理論上DC-DCコンバーターはデューティサイクル0%でも動作しますが、スルーレートの制限、帰還補正の安定度、寄生効果による悪影響回避などのため、実際には5〜10%が実用的な最小限度です。これは、コンバーターに入力できる最大電圧を制限します。

 デューティサイクル範囲の上限側にも同様の制限があります。デューティサイクルの最大値は、スイッチの最大消費電力と、トランスまたはその他のインダクタンスに使われているコア材料の飽和特性によって制限されます。デューティサイクルの値が大きい場合は平均電流量が最大となり、スイッチの消費電力も大きくなります。飽和を防ぐため、パワーインダクターは、コア内の磁界リセットにある程度の時間を要します。また、これを実現するにはオフ時間を最小にする必要があります。理論的上すべてのDC-DCコンバーターはデューティサイクル100%でも動作しますが、実際には85〜90%が妥当なところで、これはコンバーターに入力できる最小電圧を制限します。

 以上から、デューティサイクルの制限は入力電圧も制限することになります。通常、DC-DCコンバーターの入力範囲は最大電圧と最小電圧の比率で表され、標準的な絶縁型順方向コンバーターは2:1または4:1の入力電圧範囲で動作します。

 公称入力電圧は、鉛酸電池の電圧である12V、24Vおよび、48Vに基づいて標準化されています。これらの電圧は、DC-DCコンバーターの最初の主要アプリケーションである通信産業で使われています。

2:1 入力範囲
公称電圧 入力電圧範囲
12V 9〜18VDC
24V 18〜36VDC
48V 36〜72VDC

4:1 入力範囲
公称電圧 入力電圧範囲
24V 9〜36VDC
48V 18〜72VDC
110V 40〜160VDC

 もちろん、公称電圧の選択はトランスの変圧比や部品の選択によって異なりますが、現在では上に示した範囲が慣習的に確立されています。いくつかの軍用コンバーターは、より論理的な公称入力電圧28Vという定義を使用しており、これは、24Vではなく28Vを供給可能な、セルが2個追加された軍用鉛酸電池で使用するように設計された18〜75Vのコンバーターです。

 レギュレーションされていないコンバーターの標準入力電圧範囲は、公称値の±10%です。データシートの仕様はこの範囲でテストされ、保証されています。実際には、DC-DCコンバーターはこの狭い±10%の範囲外でも使用できますが、より広い低電圧または過電圧範囲での性能確認は行われていないので、エンドユーザーのアプリケーションでは実際の性能をテストする必要があります。

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