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Bluetooth 5 ビーコンの進化を支えるブロードキャスト通信容量「8倍」の仕組みBluetooth 5の特長を知る(3)(1/3 ページ)

Bluetooth 5の特長を解説するシリーズ。最終回の今回は、従来比8倍となったブロードキャスト通信容量の仕組みを説明します。これにより、ビーコンなどの用途で以前よりも優れたユーザー体験を提供できるようになるのです。

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⇒「Bluetooth 5 高速通信の仕組み」はこちらから
⇒「Bluetooth 5 通信距離「従来比4倍」の仕組み」はこちらから

航空博物館で、驚きのユーザー体験が……!


画像はイメージです

 戦闘機に焦点を当てた、航空博物館を訪れた時の話です。「P-51(Mustang)」から始まるその展示に、筆者は思いを巡らせていきました。爆撃機の護衛、空中戦、ドイツ空軍との交戦という危険な任務――。ふと振り向けば、Curtiss-Wrightの「P-40」が向こうに見えます。よく見ようと近づくと、不快な警笛に続いてラジアルエンジンがうなり声をあげるので、上を見ればガルウイングの「F4U Corsair(コルセア)」が、まるで急降下するかのごとくぶら下がっています。ふと、手に振動を感じたのでスマートフォンの画面に目をやると、そこにはCorsairの解説文が……。

 まったくもって、驚くほど素晴らしい博物館でした。展示物を見るたび、自分のスマートフォンやスマートウォッチに、解説がポップアップして出てくるのです。

 そして、こんなユーザー体験を可能にしている技術が、Bluetooth 5です。博物館での体験も、Bluetooth 5と、巧みに設計されたアプリの組み合わせによって実現されたユーザー体験の事例の1つにすぎないわけです。米国のリサーチ会社ABI Researchは、2021年までに年間5億6,500万のBluetoothビーコンが販売されると予測しています。

従来比8倍のブロードキャストメッセージング能力

 Bluetooth 5では、従来比「4倍の通信距離」「2倍の速度」、そして「8倍のブロードキャストメッセージング能力」を備えています。前者2つについては既に解説済みですので、今回は、ブロードキャストメッセージング能力についてお話しましょう。

 では、Bluetoothはこれをどうやって成し遂げているのでしょうか。少し詳しく見ていきます。

 Bluetooth 5が提供する3つのlow energy PHYは、次の通りです。

  • LE 1M PHY:1M/sビットレート。Uncoded(無線送信されるビットが送信データのビットと一対一にマップされる)。Bluetooth 4.0で使われているPHYと同じです
  • LE Coded PHY(新規):エラー訂正符号化を伴う1Mビット/秒(bps)の変調速度をサポートします。Bluetooth 5の「4倍の距離」に使用されます
  • LE 2M PHY(新規):2Mbps変調速度。Uncoded Bluetooth 5の「2倍の速度」に使用されます

 つまり、2つの新しいPHYによって通信距離が4倍に、速度が2倍になるわけですが、では、ビーコンのメッセージング能力はどのように向上するのでしょうか。

 Bluetooth 4.0を振り返ってみると、advertising(アドバタイジング)パケット中のペイロードは最大31オクテットでした。Bluetooth 5では、advertisingチャネルとadvertising PDUを追加することで、ペイロードを255オクテットに拡大しています。

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