オペアンプのダイナミック応答の検討(2) タイプ2補償回路の伝達関数:アナログ回路設計(5/8 ページ)
第2部では、2つの極の概要とそれらがフィルターの最終的な性能に対してもたらす歪みについて考察しながら、タイプ2の補償回路の伝達関数を決定する方法を説明します。
降圧コンバーター内のオペアンプ
ここでループを閉じ、選択したオペアンプの特性をシミュレーション回路図に取り込みます。回路図はこの時点で実際のモデルを使用して更新(少なくとも、実際のAOLと2つの極)されます。
この回路図から開ループゲインT(f)をプロットし、開ループゲインの変化がダイナミック応答に及ぼす影響を確認することができます。結果を図16に示します。予期される通り、クロスオーバー周波数と位相マージンにいくらかの離散が生じています。
図15のシミュレーション回路から、負荷の過渡ステップを実行し、2種類の開ループゲインに対する応答をチェックすることができます。結果を図17に示します。
開ループゲインがいずれの値であっても降下は仕様範囲内です。もちろん、これは簡素化したアプローチであり、オペアンプの誤差電圧偏差が所定範囲内(1.6V)に収まることが条件であり、またスルーレートは分析全体の一部であることが必須で、過渡応答に対するスルーレートの影響も評価する必要があります。
まとめ
この第2部では、オペアンプのダイナミック応答が補償回路の性能に及ぼす影響のいくつかを示しました。広い帯域幅が予期される場合は、補償回路のダイナミック応答に対するこれらの要素の寄与を無視することはできません。理想的なタイプ2の応答を選択したオペアンプの開ループ振幅プロットに重ね合わせ、一致具合をチェックすると進むべき方向を判断できます。ただし、重ね合わせて一致が見られないと最終的に位相ブーストに大きな歪みが生じる状況も確認しました。オペアンプの開ループ応答と理想的なタイプ2の応答間に大きな違いが確認された場合、ゲイン帯域幅積を考慮し、与えられた式を使用して、望ましい応答に対する影響を確認できます。包括的な安定性分析で、オペアンプの内部特性も含め、公差が各要素に及ぼす影響を求めて、全体のループゲインを考慮する必要があります。式6から求めたタイプ2の完全な伝達関数を使用すると、分析をさらに一歩先に進めることができます。
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