オペアンプのダイナミック応答の検討(2) タイプ2補償回路の伝達関数:アナログ回路設計(8/8 ページ)
第2部では、2つの極の概要とそれらがフィルターの最終的な性能に対してもたらす歪みについて考察しながら、タイプ2の補償回路の伝達関数を決定する方法を説明します。
タイプ3の補償回路が存在
さらに検討するために図22に注目してください。タイプ3の補償回路が存在することが分かります。1行の代数式も記述せずに、Z1とZ2rがそれぞれ実質上の短絡および、開路になる時に、応答VFBが消失すると言うことができます。Z1は式26で既に求めており、次の式で表されるゼロに寄与します。
刺激Voutが応答VFBを形成しないようにするには、2番目のオプションはZ2が開路になることです。言い換えると、s=sz2の時にそのインピーダンスを表す式は無効になります。
Z2のインピーダンスを決定するために(この部分を全体の回路から分離する)、図18の右側のように、頭の中で電流源ITをR1の両端に接続することを想像します。s=0の場合、電流源の端子間で「見られる」抵抗値がR1です(C3はDC状態では開路)。励起(電流源)が0Aに減少したとき(0Aの電流源は単純に回路から消失したのと同じ)の時定数は、C3の両端から見た抵抗値RとC3の積に等しい値です。つまり、単純にτ3=(R1+R3)C3となります。この場合、関心があるのは分母の根だけなので分子は必要ありません。ただし、分子も求めたい場合は、Z1を分析したときと同じ構造になります。R3とC3が実質上の短絡に等しい場合、電流源の両端の応答VTは消失します。これらのデータを組み合わせると、次の式が得られます。
分母を打ち消して、インピーダンスの振幅を無限大に近づけるには、次の式を解く必要があります。
次のように変形できます。
したがって、中間的なタイプ3の伝達関数は次のようになります。
ここで、
および、
D(s)を求めるには、参考資料4を参照するだけです。
【参考資料】
1:C. Basso, "Practical Implementation of Loop Control in Power Converters", APEC Professional Seminar, Charlotte (NC), 2015, http://cbasso.pagesperso-orange.fr/Spice.htm
2:T. Hegarty, "Error Amplifier Limitations in High-Performance Regulator Applications", AN-1997, Texas-Instruments, May 2013, http://www.ti.com/lit/an/snva411a/snva411a.pdfk
3:http://cbasso.pagesperso-orange.fr/Spice.htm
4:C. Basso, "Linear Circuit Transfer Functions - An Introduction to Fast Analytical Techniques", Wiley 2016, ISBN 978-1-119-23637-5
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