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DC-DCコンバーターの熱パラメーター理解DC-DCコンバーター活用講座(19) データシートの理解(5)(1/4 ページ)

今回は、DC-DCコンバーターの選定で重要な指標となる熱性能パラメーターついて解説します。

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 今回は、DC-DCコンバーターの選定で重要な指標となる熱性能パラメーターついて解説します。

はじめに

 システムの性能を最適化する上で、熱設計は非常に重要な役割を担っているので、最適なDC-DCコンバーターを選ぶためには、熱性能パラメーターを正しく評価することが絶対に必要です。技術的データシートは、周囲動作温度の限界値だけでなく、熱ディレーティング、内部消費電力、最大ケース温度、熱インピーダンスを規定し、コンバーターの熱性能の特性を十分に示さなければなりません。消費電力は効率から計算することができますが、データシートに熱インピーダンスが書かれていなかったり、アプリケーションの実際の動作条件下での正確な数値が必要な場合は、恒温槽テストによって確認する必要があります。

 恒温槽のような制御された環境であっても、モジュール式DC-DCコンバーターの熱挙動に関して信頼できる計測値を得るには、細心の注意を払って測定を行う必要があります。たとえほんのわずかな空気の流れがあっても測定結果を著しくゆがめてしまうため、テスト対象デバイス(DUT)は恒温槽内で段ボール箱に入れ、恒温槽の空気循環ファンの風を避ける必要があります。箱の中の周囲温度は較正されたセンサーで測定します。センサーは、コンバーターが発する熱が測定値に直接影響を与えないような場所に設置します。

 コンバーターのケース温度は、メーカーが指定する場所か、サーマルカメラの画像で見つかる一番温度の高い部分(TC,MAX)で測ります。非常に小さいコンバーターでは、センサーのワイヤから伝わる熱があるため、温度センサーを付けること自体が結果に影響を及ぼす可能性もあります。そのため、できる限り接点の小さい熱電対を使わなくてはなりません。

 低消費電力コンバーターの場合は特に、自己発熱が主要な発熱源ではないために、信頼できる熱インピーダンス測定値を得るのが難しいことがあります。多くの場合、動作温度範囲は内部部品の温度限界によって決まります。これは、熱電対を熱性能を重視する部品に固定し、周囲温度を超える温度の上昇を測定し、そして周囲温度を10℃ステップで数回変化させたときの測定値から安全な限界値を計算することができます。樹脂充填(じゅうてん)型コンバーターの場合、正確な測定値を得るためには、熱電対を充填前に取り付ける必要があります。

 高電力コンバーターの場合、熱インピーダンスは自然対流(静止した気流)のもとで温度上昇を測定し、内部の電力損失を計算することで求められます。求めた熱インピーダンスは、さまざまな強制対流速度の熱伝導係数の計算に使うことができます。

 最後に、非常に低温な条件もコンバーターの性能に悪影響を及ぼします。温度の下限は、以下の3つの要因の中で一番早く発生した要因によって決まります。使用部品の最小温度定格、PWM回路のゲイン減少またはバイアスポイントのシフト(コンバーターの起動を妨げる)、あるいは熱膨張係数の不整合からくる機械的故障です。

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