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DC-DCコンバーターの逆極性保護と入力ヒューズDC-DCコンバーター活用講座(20) DC-DCコンバーターの保護(1)(1/3 ページ)

今回から、DC-DCコンバーターを保護する各種部品や考え方について解説します。

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はじめに

 DC-DCコンバーターの役割の1つはアプリケーションを保護することです。最も単純なレベルの保護は、負荷と1次電源を整合させることと、入力に低電圧や過電圧があっても出力電圧を安定させることですが、DC-DCコンバーターは、システム故障を防ぐ重要な要素でもあります。

 例えば、出力過電圧制限と短絡保護は、負荷に異常が生じた場合にコンバーターの損傷を防ぐだけではなく、異常状態下での出力を制限することによって、負荷がそれ以上損傷しないよう保護する役割も果たします。複数の同様回路やチャンネルにそれぞれ専用のDC-DCコンバーターを使用して個別に電源を供給するアプリケーションでは、1つの出力チャンネルに異常が生じても、それが他の出力に影響しないので、耐故障性システムを実現できます。

 サーマルシャットダウンなどのその他のコンバーター保護機能は、基本的に内部部品の過熱による損傷からコンバーターを保護するために設計されていますが、周囲温度が高くなり過ぎた場合にアプリケーションを停止し、アプリケーションの部品を高温による異常から保護するという二次的な効果も備えています。

 入力と出力の間に絶縁を追加するとループが遮断されて干渉源がなくなり、過渡現象による損傷からアプリケーションを保護することができ、システムの信頼性が向上します。電源の帰還の影響をなくすことは、DC-DCコンバーター保護の重要な側面です。例として、高出力DCモーター用速度コントローラーを考えます。速度制御回路には、モーターの速度をスムーズに調整するために、安定したノイズのない電源が必要です。しかし、モーターがDC電流に印加する大きいACリップルは著しい電圧過渡を発生させ、これが速度コントローラーのレギュレーション回路に入り込んでジッタや不安定な状態を生じさせることがあります。絶縁型DC-DCコンバーターは、安定した低ノイズの電源を速度制御回路に供給するだけでなく、ノイズ帰還ループを遮断することによって、モーターや関連駆動チェーンを損傷させる恐れのある、不要な異常制御信号からモーターを保護します。

 しかし、DC-DCコンバーターも、他の電子回路同様、定められた電圧、電流、温度の制限内で使用しないと故障する可能性のある電子部品で構成されています。この章では、コンバーター自体を損傷から保護するために必要な保護手段について検討します。

逆極性保護

 DC-DCコンバーターは、逆極性接続に対しては保護されていません。VIN+端子とVIN−端子を入れ違えるとほぼ確実に故障するので、入力コネクターやバッテリーとの接続には、誤続防止機能を備えたものを使用するように注意する必要があります。1次電源がトランスの場合は、整流ダイオードが故障すると出力に負電圧が発生して、DC-DCコンバーターの故障を引き起こします。

 逆極性になった場合にDC-DCコンバーターが故障する主な理由は、FETのボディーダイオードです。逆接続をすると、このサブストレート(ボディー)ダイオードが導通して非常に大きな電流IRが流れ、これが1次側の部品を損傷させる恐れがあります。この危険は、いくつかの方法で回避できます。


図1:逆極性電流の流れ 出典:RECOM

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