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DC-DCコンバーターの出力過電圧保護と入力過電圧保護DC-DCコンバーター活用講座(21) DC-DCコンバーターの保護(2)(1/5 ページ)

今回は、DC-DCコンバーターの出力過電圧保護と入力過電圧保護について解説します。

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出力過電圧保護

 過電圧保護(OVP)は、DC-DCコンバーターの出力側または入力側で行うことができます。出力側におけるOVPの役割は、レギュレーション異常からアプリケーションを保護することです。多くのコンバーターは、出力電圧が一定の限界を超えないようにするために、電圧リミッタあるいは「クランプ」としてサプレッサダイオードを使用しています。難しいのは、正しいクランプ電圧レベルを設定することです。

 サプレッサダイオードの場合、トリガーポイントのかなり下で多少の漏れ電流が流れ始めますが、トリップ電圧をあまり高い値にすると過電圧保護機能が損なわれます。通常は、公称出力電圧より10%高いクランプ電圧が許容できる妥協点です。もちろん、ダイオードは限られた量の電力しか消費できないので、レギュレーションが全く機能しなくなるとダイオードはすぐに使用できなくなりますが、クランプはまだ有効で、特定の運転条件下で発生し得る一時的な出力スパイクを除去できます。


図1:電圧クランプとしてのツェナー(サプレッサ)ダイオードの機能 出典:RECOM(クリックで拡大)

入力過電圧保護

 入力側に使用するOVPの役割は、コンバーターが入力過電圧やサージの影響を受けないようにすることと、EMC規則およびその他の安全および性能標準に適合するようにすることです。

 今日では使用している家電品や電子システムの数が増大していることから、電源ライン上での電気的グリッチ発生の頻度も増しています。家電品から発生する電源ラインの伝送性干渉の許容値、あるいは家電品がこれらの干渉にどの程度耐えなければならないか(耐性)を定めた標準や規則が、数多く定められています。

 これらの耐性テストは電圧サージ、過渡および高速過渡過電圧、ESD(静電放電)が対象で、現在では基準が厳しくなっているため、広範な入力OVP回路がない限り、テストに合格することは非常に難しくなっています。


図2:ESD保護 出典:RECOM

 全てのDC-DCコンバーターには1次電源が必要なので、主電源による過電圧保護機能と入力フィルターを備えたAC-DC電源が取り付けられるほとんどのアプリケーションにとって、最も深刻な過電圧は落雷によるものだと考えて間違いありません。標準的な高電圧サージプロテクターは、ガス放電管、金属酸化物バリスタ、火花ギャップなどの素子を組み合わせて、サージのエネルギーをグランドへ逃がすか、長い時間放散しピーク電圧を低下させます。落雷に伴うエネルギーは、インパルスが加わるごとにサージサプレッサを著しく劣化させるほど大きいので、サプレッサは交換可能でなければなりません。

 従って、通常、DC-DCコンバーター自体を、落雷によって入力に生じる高電圧サージから保護する必要はありませんが、太陽光発電などの商用電力網以外を電源に使用するシステムは例外で、これらのシステムではやはり落雷サージ保護が必要です。ほとんどのアプリケーションでは出力側の落雷保護も必要ありませんが、製油所などの工場や、長い露出ケーブルを使用する屋外照明システムのバス電源システムは例外です。DC-DCコンバーターは1次電源に直接接続され、発生する過電圧グリッチのエネルギーが全て加わるので、多くの場合は多重的な過電圧保護を施す必要があります。

 以下のセクションでは、OVP保護の原理を解説します。保護手段は、常にソースインピーダンスと結び付けて考える必要があります。ソースインピーダンスが低いほど過電圧スパイクに含まれるエネルギーは大きくなり、コンバーターをこれらのスパイクから保護することがより困難になり、なおかつより高価になります。保護方法には、基本的にクローバー方式と電圧クランピング方式の2種類があります。

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