記録計/データロガーの歴史と良い記録計の見分け方:記録計/データロガーの基礎知識(1)(2/4 ページ)
本連載では、「記録計/データロガー」に関する基礎的な知識を解説する。第1回の今回は、記録計/データロガーの歴史を振り返るとともに、良い記録計/データロガーとはどのようなものか、考察していく。
X-Yレコーダー
1950年代に登場した二次元で表現すると分かりやすい現象を記録するのに使われた記録計である。信号はX軸とY軸をそれぞれに入力する仕組みとなっている。過去にはB-H曲線(磁気ヒステリシス曲線)を描く直流磁化特性記録装置などに組み込まれて使われていた。現在ではあまり使われなくなったが、一部のメーカーからは販売が続けられている。
X-Yレコーダーは2つのアナログ信号を直接入力して、二次元のグラフを容易に書ける長所を持つが、入力信号を平均化するなどの演算処理ができないという短所がある。現在では測定結果をいったんPCに取り込んで、その結果をプリンターやプロッターに二次元のグラフを出力することが多くなっている。
自動平衡式記録計
自動平衡式記録計は負帰還回路によって正確なペンの位置決めができる仕組みを持った記録計である。1898年に英国で作られた最初の自動平衡式記録計は電子回路による負帰還回路ではなく、機械的な仕組みで実現していた。
1940年代になると真空管を使った現在の製品につながる製品が米国で開発された。日本でも1951年に横河電機が真空管を使ったER電子管自動平衡記録計を開発した。アナログ技術をベースにした自動平衡記録計は長年にわたって最もよく使われる記録計となり、進化の過程で大幅な小型化や長期信頼性の向上が進んでいった。長時間に渡って紙に安定した記録をする技術の獲得には多くの経験が必要であったため、参入できるメーカーは限られていた。
ハイブリッド記録計
データロガーが持つPCとの親和性の良さと、自動平衡記録計の測定結果の見やすさという2つの特長を併せ持った記録計がハイブリッド記録計である。ハイブリッド記録計はマイクロプロセッサが普及した1980年に横河電機が初めて開発した。
ハイブリッド記録計にはワイヤドットプリンターが記録機構として搭載されているため、測定結果を波形として表示するだけではなく、測定値などを数字や文字を印字することも可能となった。印字位置はステッピンモーターで制御されているため、負帰還回路による位置決め機構は採用されていない。
マイクロプロセッサを搭載したハイブリッド記録計は、アナログ式の記録計より高機能という長所を持っているため、今までにない機能を本体に取り込むとともに、通信機能を持つためPCとの親和性が増した。しかし限られた面積のパネルで多機能を実現する設定をするため、操作が煩雑になるという短所はあった。
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