記録計/データロガーの歴史と良い記録計の見分け方:記録計/データロガーの基礎知識(1)(4/4 ページ)
本連載では、「記録計/データロガー」に関する基礎的な知識を解説する。第1回の今回は、記録計/データロガーの歴史を振り返るとともに、良い記録計/データロガーとはどのようなものか、考察していく。
よい記録計とは
記録計は選ぶ際には、「よい記録計」の条件を理解しておくことが必要となる。利用する目的や環境に合わせて、「よい記録計」に必要な条件を定めて機種選定することを勧める。
【1】測定精度が高いこと
記録計は要求される精度を満たしていることが必要である。記録計の精度はカタログに書かれているが、カタログに書かれた仕様は安定した条件で得られるものである。実際の設置環境では、温度の変化や外来ノイズなどの影響を受けるため、外乱による影響を受けない工夫がされている製品を選ぶ必要がある。
【2】信頼性が高いこと
記録計は長時間に渡って連続して測定を続けるため、高い信頼性と耐久性が要求される。また、記録計は過酷な環境に長期間設置されることもあるので、利用環境に耐える製品の選択が必要になることもある。
測定結果の信頼性を保障するため、記録されたデータが容易に改ざんされない仕組みを持つことが要求される場合もある。
信頼性の高い記録計はさまざまな国際規格に適合していることにも注目しなければならない。
【3】入力の自由度が高いこと
研究や設計開発分野で利用される記録計は、実験の目的に応じたセンサーや電圧源、電流源から得られる信号を記録する必要がある。このためさまざまな温度センサーへの対応や幅広い電圧レンジが要求される。
入力端子に多くの配線をしなければならないため、作業性をよくするため配線する際に端子台が分離できる工夫がされているものが良い。
最近では電力計で測定したデータをイーサネット(Ethernet)経由で直接記録計に取り込んで、他の測定データとともに記録するなど便利な機能用意されている。このような機能がある記録計はPCを使わなくても簡単な計測システムを構築することができる。
【4】制御性がよいこと
記録計は単体で使われることもあるが、システムに組み込まれて使われる場合がある。システムに組み込まれた記録計は通信や外部信号によって制御される。記録計にはさまざまな通信規格や制御入出力信号端子を持つことが要求される。また、外部から送られる制御コマンドの応答時間に配慮が必要な場合もある。
システム構築を行う場合に必要な制御が実現できる製品を選択する必要がある。また記録計メーカーが提供するPCソフトウェアなどにも注目する必要がある。
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