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リレー(1)――リレーとは中堅技術者に贈る電子部品“徹底”活用講座(26)(1/2 ページ)

今回から、接点部品の一つであるリレーの説明をしていきます。ただし今回取り上げるリレーは接点容量数10mAから数Aの、主として電子回路と組み合わせて用いられるリレーです。

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 前回まではスイッチ(SW)についてその概略の構造と使い方について説明をしてきました。今回からはもう一つの接点部品であるリレーの説明をしていきます。ただし今回取り上げるリレーは接点容量数10mAから数Aの、主として電子回路と組み合わせて用いられるリレーです。

リレーとは

 リレーとは電磁力を利用してSWの接点を駆動するものと考えることができます。電磁力を利用するために電子回路から容易に制御することができ、位置検出用SWなどと共にメカトロニクス部品の一端を担っています。
 ただSWの場合は接点の駆動に機械や人の力のような強制的な力が使えましたが、ここで取り上げるリレーの場合には電磁石によるg(グラム)単位の微弱な力しかありません。そのために電磁力に関係する電気的な注意点に加えて機械的な振動・衝撃に対する配慮が必要であり、リレーとしての固有の注意点が生じます。

リレーの用語

 リレーはSWの接点を機械的に駆動していますのでリレーの用語にはSWの用語に加えて駆動に関する用語も追加されています。その中でも使用についてのリレー特有の用語を表1に示します。また仕様を規定する時に必要になる内容については別途説明する予定です。

項目 詳細 記入例
接点構成 a接点(メーク接点)、b接点(ブレイク接点)、c接点(トランスファ接点)など接触機構です 2C(2トランスファ)
接点極数 接点回路数です
最小開閉容量*) 安定して開閉できる最小限の電力です 10mVDC,25μA
コイル温度上昇 最高周囲温度で使用した時にコイル周辺の絶縁物やコイルの銅線の耐熱温度が上限を超える時の温度上昇です ΔT<25deg 定格電圧時
使用温度範囲 低温側:一般電子部品と整合の取れる温度です
高温側:定格使用条件で使用した時に各部温度が規格上限温度を超えない温度です
−40〜+85℃

 リレーの接点は固定接点、可動接点共にある程度の長さを持つ支持体に取り付けられています。このためにリレーに物理的な外力が加わると接点の開閉に支障を生じます。

耐衝撃性 落下や加振によって発生する比較的大きな衝撃による特性変化や破損を規制する耐久衝撃と、使用中の誤動作を規制する誤動作衝撃があります 誤動作:75G
耐久:100G
耐振動性 落下や加振によって発生する比較的大きな衝撃による特性変化や破損を規制する耐久振動と、使用中の誤動作を規制する誤動作振動とに分けられます。 10〜55Hz   誤動作:20G
       耐久:30G
表1:リレーの用語例
*)最小開閉容量:接点が開離する時には接触面積が過渡的に減少し最終的に開路状態に至ります。この時に電流密度が過渡的に増加し開路する時にアークを発生して接点表面の自然酸化膜を焼き切り、接点表面をクリーンな状態に保ちます。
 したがって通電電流が小さいと十分なアークが発生せず接点表面をクリーンに保つことができなくなります。またこの電流は接点定格のディレーティングと異なり開閉電圧が増加しても減らすことはできません。

 また、表2はSWの時にはあまり考慮してこなかった動的特性(時間関係の特性)に関する主な用語です。

項目 詳細 記入例
4.7項(1) 動作時間 リレーのコイルに定格の励磁入力を加えた時点から、接点が動作するまでの時間。ただし、複数個の接点をもつリレーの場合には、ほかに規定がなければ一番遅い接点が動作するまでの時間とする。
DCリレーでは5回中の最悪値。
動作時間、復帰時間はバウンス時間を含んでいません。
約3ms(バウンス含まず)
4.7項(2) 復帰時間
   (復旧時間)
リレーのコイルに定格の励磁入力を取り除いた時点から、接点が復帰するまでの時間。ただし、複数個の接点をもつリレーの場合には、ほかに規定がなければ一番遅い接点が復帰するまでの時間とする。
DCリレーでは5回中の最悪値。
約3ms(バウンス含まず、ダンプ・ダイオードなし)
4.8項 バウンス リレーの可動部分(接極子)が鉄心やバックストップヘ衝突、または、接点相互が衝突することによって生じる衝撃、振動などに起因する接点間の異常な間欠的開閉現象。
この間欠的開閉現象の継続している時間をバウンス時間(bounce time)とする。
 
4.9項 チャタリング リレーに加わる外部からの衝撃、振動などに起因する接点間の異常な間欠開閉現象。
この現象の継続している時間をチャタリング時間(chattering time)とする。
 
表2:リレーの動的特性 (JIS C5442-1996)

チャタリングとバウンス

 Wikipediaのチャタリングの項には次の表3の記載がありますがこれは表2のJIS用語ではバウンスに該当する言葉です。
 ただ“bounce”は“跳ね上がり”であり、“chatter”とは“ムダ口”や“ガタガタ”などの意味合いですから表3の現象にはバウンスよりもチャタリングが似合うと思うのは筆者だけなのでしょうか?


表3:Wikipediaのチャタリングに関する記述 (2018年6月22日 (金) 11:15)

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