降圧回路のEMIをカンタンに低減する3つのTips:そのノイズ、10分でどうにかなるかも(2/3 ページ)
電磁干渉(EMI)が抑えられず、再設計……。もしかすると、こうした悪夢は回避できるかもしれません。降圧回路で簡単にEMIを低減できる3つのTips(ヒント)を紹介しましょう。
Tips 2:EMIフィルターの電源端子にあるコンデンサーを取り除く
EMIフィルターは、インダクターとフェライトビーズで構成されることが多く、図3に示すように同相チョークが使用されていることもあります。これら3つの部品の前後や各部品間にはコンデンサーが配置されます。多くの場合、フィルターの最初の部分には小型の高周波セラミックコンデンサーが配置され、降圧回路から最も遠い電源端子に接続されます(図3、CHF1)。考え方はシンプルで、コンデンサーを追加することによって電源端子で発生するリップルを低減するというものです。これにより、通常は差動モードEMIが低下しますが、EMI性能の改善にはつながらない場合もあります。
図3に示す通り、CHF1(左端のコンデンサー)は、バッテリーとコンデンサー間(バッテリーからJ1)を接続しているハーネスの物理特性から生じる寄生インダクタンスによって、バッテリーの+12VとGND(IN+とIN−)からの低抵抗パスを供給しています。インダクタンスと容量を持つ低抵抗パスは、インダクタンスと容量の積の平方根に反比例する角周波数で共振します。0.1μFのコンデンサーが108MHz(FM帯域の上限であり、EMIテスト時に合格が難しい周波数として知られている)で共振するのに必要なインダクタンスは、たったの0.022nHです。
選択するコンデンサーとレイアウトによっては、コンデンサーを単純に取り除くだけで改善効果が得られることがあります。
実証結果
図3のCHF1を取り除いた結果、FM帯域内での平均値検波において3dBμV〜5dBμVの改善が見られました。コンデンサーが有効な場合もありますが、コンデンサーを取り除くことによって高周波数での結果が改善することも多くあります。
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