デジタルオシロスコープの基本仕様やトリガー機能:デジタルオシロスコープの基礎知識(2)(2/6 ページ)
連載2回目の今回は、オシロスコープの「基本仕様の理解」「トリガー機能」「パラメーター測定および演算機能」「波形データの印字、保存、通信」について解説する。
サンプルレート
デジタルオシロスコープは、A-D変換器によって波形の振幅を等間隔にサンプルする構造となっているため、サンプリング周波数が速いほど波形を細かく見ることができる。
上図では、サンプル間隔が200ナノ秒のときはパルス波形がまったく見つけることができない可能性がある。また、サンプル間隔が20ナノ秒のときはパルスがリンギングしていることが分からない。
一般に、観測した周波数成分の5〜10倍以上のサンプルレートが必要となる。
レコード長
サンプルした波形を記録する長さを、レコード長(メモリ長)という。レコード長は、ポイント数もしくはワード数で表現される。サンプルした波形を全てディスプレイ上に映すだけであれば、レコード長と画面の表示分解能が同じであれば問題はない。そのため、安価なデジタルオシロスコープでは数kポイントのレコード長となっている。取り込んだ波形を時間軸方向に拡大する場合などは、長いレコード長が必要となる。
また、複数の現象をトリガーごとに繰り返して記録したい場合は、1回の観測で波形を取り込むレコード長を指定して、複数回繰り返して波形を記録する。
最近のデジタルオシロスコープは、レコード長の長いものが多くなってきている。以下に、レコード長の長いデジタルオシロスコープの利用が望ましい分野の事例を示す。
・メカトロニクス機器の駆動観測
メカトロニクス機器などは、電子回路で作られた制御部は高速に動作するが、モーターやエンジンなどの機械は、電子回路に比べて低速の動作しかできない。電子回路の動作と機械の動作を同時に観測する場合は、広い周波数帯域と長い観測時間が必要となるため、レコード長の長いデジタルオシロスコープが必要となる。
・シリアル通信波形と伝送データの同時観測
シリアル通信の波形と伝送情報を同時に観測する場合は、データ列で構成された伝送情報の波形を広帯域にデジタルオシロスコープに取り込む必要があるため、レコード長の長いデジタルオシロスコープが必要になる。
最近のオシロスコープには、さまざまなシリアル通信に対応したデコード表示ができるものがある。例えばI2C、SPI、RS-232/422/485/UART、USB 2.0、CAN、CAN FD、LIN、FlexRayなど幅広いシリアル通信規格に対応しているため、ファームウェアのデバッグにオシロスコープが利用できる。
・突発現象の観測
突発現象を効率よく見つけ出すには、広帯域で長時間の記録ができることが必要である。これにより突発現象を捉えやすくなる。
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