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シンプルなのになぜ!?  短期間で故障を繰り返す電源【前編】Wired, Weird(1/2 ページ)

サーボアンプの電源ユニットの修理を依頼された。現品を確認したらよくある電源回路の部品構成で簡単に修理できた。しかし修理後も短期間の稼働で不良が再発するという事態に陥った――。今回は本当の不良原因が分かりにくい電源の修理を報告する。

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 サーボアンプの電源ユニットの修理を依頼された。現品を確認したらよくある電源回路の部品構成で簡単に修理できた。しかし修理後も短期間の稼働で不良が再発するという事態に陥った――。

 今回は本当の不良原因が分かりにくい電源の修理を報告する。

放熱板の熱でドライアップしたコンデンサーを交換

 最初に修理を受けた時に撮影した電源基板の写真を図1に示す。

図1
図1:不良が発生した電源の基板 (クリックで拡大)

 図1の電源を簡単に説明する。AC電源は中央右の茶色の丸いヒューズを経由し、右下のフィルター回路を通して下側の整流回路に供給される。この一次電源を上側のトランスと上側の左にあるトランジスタでスイッチングして2次電源を生成する。中央左の16ピンのDIP ICが電源を制御するICで、右上にある2つの放熱板に固定されたショットキーバリアダイオード(以下、SBD)で整流され右側の電解コンデンサーに充電されて5Vと24Vの電源が生成されていた。

 現品を確認したら、すぐに不良原因が見えた。それは、図1の右上の1、2の番号を書いた電解コンデンサーがボトムアップし、ドライアップしていた。このコンデンサーを基板から外した様子を図2に示す。

図2左図2右 図2:コンデンサーを取り外した基板(左)と、取り外したコンデンサー(右) (クリックで拡大)

 図2の左側はコンデンサーを外した基板、右側は取り外したコンデンサーの写真で右の2個がボトムアップしていた。電解コンデンサーを外した基板には電解液が漏れた跡があった。電解コンデンサーのすぐ上に配置された放熱板の熱の影響で電解コンデンサーが加熱されドライアップしたと考えられた。

 ボトムアップした電解コンデンサーの容量を単体で測定するとゼロで、完全に抜けていた。電解コンデンサーは1000μF品が実装されていたが2倍の2200μF品に交換した。念のため電源生成用のサブ電源のリップルの改善を行い、ボトムアップしていなかった2個の電解コンデンサーも交換した。修理後、24Vと5V出力は正常に出ていたので、これで修理完了と判断し、依頼主に納品した。

 しかし納品から3カ月後、「不具合が再発した」と再修理の依頼があった――。

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