電力計の構造と主な測定値や演算結果:電力計の基礎知識(2)(3/4 ページ)
電力計の基礎知識を解説する連載2回目。今回は、「電力計の構造」「電力計による主な測定や演算結果」「電力計への結線」「ノイズ対策」「電力計と組み合わせて使う大電流センサーとPCソフト」について説明していく。
電力計への結線
電子機器や電気機器と電力計の配線は、単相2線式、単相3線式、三相3線式、三相4線式のいずれかとなる。電力計への接続は、それぞれの方式に合わせた結線となり、電力計を使う上では最も注意が必要な作業である。
単相2線式
住宅や事務所などにある多くの電子機器や電気機器は、単相2線式が使われている。単相2線式での電力計への結線を下図に示す。
単相3線式
住宅や事務所で使われる大きな電力を消費するIHクッキングヒーター、大型住宅用エアコン、業務用洗濯機、電気温水器、電気式床暖房などでは、200Vを得るために単相3線式が使われている。単相3線式は100Vと200Vを同時に得ることができるので、大きな消費電力を消費する電気設備を持つ住宅や事務所において、広く利用されている。
単相3線式での電力計への結線を下図に示す。
三相4線式
中性点を基準に三相電源の各相での電力をそれぞれの入力モジュールで測定して、その合計を三相電力として表示する。
三相3線式
三相3線の電力は電力モジュール2台を使用して、その和から求めることができるという「ブロンデルの定理」がある。この方法は2電力計法といわれている。
この方法での測定は、線間電圧と相電流の位相差がそれぞれ異なるため、それぞれの電力モジュールに表示される値は異なる。線間電圧と相電流との位相差が90度以上になる場合があるため、負の電力値を示すことがある。
三相3線式での電力測定は入力モジュールで測定した電力値の和が意味を持つ。また各相電流のベクトル和がゼロにならない場合は測定に誤差が生じるので注意が必要である。
三相3線式(3電圧3電流計法)
全ての線間電圧と相電流を測定する方式である。三相有効電力の測定原理は2つの線間電圧と2つの相電流を測定する三相3線式と同じく「ブロンデルの定理」によるものである。三相皮相電力は全ての線間電圧と相電流の測定値を使って計算され、線間電圧、相電流が不平衡であるとき、より正確な皮相電力を求めることができる方式である。
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