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「6G」研究で知っておきたいテストパラメータテラヘルツへの心構え(3/3 ページ)

高い周波数を使用する6G(第6世代移動通信)のテストでは、どのようなパラメーターが重要になってくるのかを説明する。

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バンドパスフィルターとPAを追加

 図5は、中心周波数144GHzのバンドパスフィルターと、パワーアンプ(PA)をアップコンバーターデザインに追加したもので、前述の課題を表している。PAには利得と1dB圧縮ポイントが指定されている。ミキサーの非線形特性をモデル化するために、出力の3次インターセプトポイント(TOI)が指定されている。


図5:サブテラヘルツのアップコンバーターデザインとバンドパスフィルターおよびPA 出典:Keysight Technologies(クリックで拡大)

 図6に示したように、アダプティブイコライザーを有効にしない場合、EVMは15.99%に達する。また、コンスタレーションステートにはそれに応じた分散が見られる。だが、バンドパスフィルターによる線形振幅と位相エラー、あるいはPAまたはミキサーによる非線形ひずみのどちらが分散の原因になっているのか判断するのは難しい。


図6:アダプティブイコライザーを使用しない状態の、パワーアンプバンドパスフィルターとパワーアンプでのシミュレーション結果 出典:Keysight Technologies(クリックで拡大)

 では、アダプティブイコライザーをオンにしてみよう。EVMはイコライザーを使用しない場合より良好だが、バンドパスフィルターとPAがない場合よりは悪くなる。これは、ミキサーとPAによる非線形劣化が原因だ。アダプティブイコライザーは、バンドパスフィルターから線形振幅と位相エラーのみを除去する。残りの非線形劣化がEVMの値を増加させている。


図7:アダプティブイコライザーを有効にした状態の、バンドパスフィルターとパワーアンプでのシミュレーション結果 出典:Keysight Technologies(クリックで拡大)

 これらのシミュレーションではシングルキャリアのQAM波形を使用しているが、他の波形をモデリングしてシミュレートし、サブテラヘルツのアップコンバーターデザインを通じて性能を評価することも、もちろん可能だ。

 物理層の標準規格が定義されるまで、波形の定義は完了しない。そのため、サブテラヘルツのテストシステムは、候補の波形をテスト/デモする柔軟性を備えている必要がある。1テラビット/秒(Tbps)のデータレートに移行するには、シングルキャリアQAMやOFDM(直交周波数分割多重化方式)など、従来の波形を考え直す必要がある。それ故、システムデザインのシミュレーションは、さまざまなシミュレーション環境で予測されるシステム性能を評価する上で、重要な役割を担う。


著:Jessy Cavazos

2019年1月に、5Gに注力するためにキーサイトのIndustry Solutions Marketingチームに加わる。それ以前は、Frost & Sullivanでテストと測定を担当するIndustry Directorを務めた。

2002年にグローバルなコンサルティング/市場調査企業に入社して以来、15年以上にわたりテスト/測定業界で活躍。主な市場機会と急速に変化するトレンドに注目した多数の市場調査を執筆し、業界を代表する出版物で発表している。

フランス・ルーアンのInstitut de Formation Internationaleで国際ビジネスの学士号を取得。

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