インダストリー4.0への移行を加速する産業用イーサネット:あらためて知りたい、その利点(1/4 ページ)
インダストリー4.0への移行を加速する産業用イーサネットについて解説する。
第4次産業革命(インダストリー4.0)により、製造施設やプロセス施設のデジタル化が進みつつあります。その結果として、製品の製造方法にも変化がもたらされます。私たちは、これまで数十年間にわたって、自動化によってもたらされるメリットを享受してきました。そして現在では、有用なデータ、機械学習、AI(人工知能)といった新たな要素を取り込んでシステムを強化しています。
また、昨今の自律型システムはネットワークによって相互に接続され、データの通信、分析、解釈を実行するようになりました。得られた結果は、工場の他の領域におけるインテリジェントな判断や行動を支援するものとして活用されています。
さらに、スマートファクトリーを実現することで、生産量、設備の利用率、あらゆる事柄の生産性を高めて、ビジネスの新たなスタイルを生み出そうとする取り組みが進められています。例えば、データストリームを活用することで、エネルギー消費と残余廃棄物の量を抑えつつ、柔軟性を高め、品質を向上させるといった具合です。エッジからクラウドまでをネットワークでつないだインテリジェントなシステムの適応力を活用すれば、マス・カスタマイゼーションをサポートすることができます(図1)。同時に、製造環境におけるさらなる効率向上を達成することが可能になります。
インダストリー4.0を導入すれば、活用できるデータが増えて、より良い意思決定が行えるようになるとされています。必要に応じて任意のタイミングでデータにアクセスし、そのデータをオートメーションシステム全体に伝送する能力は、どのようなネットワーク技術を選択するかにかかっています。
それに加えて、インダストリー4.0を導入する製造企業は、増加するデータ量に対応できるよう、自社のプロセスを進化させる必要があります。相互に接続されたインテリジェントなオートメーション環境を構築するには、情報を生成して共有するシステム、マシン、ロボットなどをデジタル的に接続、つまり相互に通信できるようにしなければなりません。各種マシンが使用する工場の通信ネットワークは、インダストリー4.0を実現するための“イネーブラ”の役割を果たします。
既存のインフラでは、遠隔地に設置されたものも含めて、工場のフロア全体に分散する全てのセンサーやアクチュエータをシームレスに接続することは不可能です。インダストリー4.0の目的は、エンタープライズ・レベルでデータを取得/統合し、利用可能な知見を得ることですが、そのためには、膨大な量のデータを、通信ネットワークの機能に支障をもたらすことなくいかに伝送するかが課題です。言い換えれば、今日のオートメーション環境と工場のフロアの将来像に必要な要件を満たす産業用の通信ネットワークを導入する必要があるのです。
そのようなネットワークは、どのように設計し、構築し、導入すればよいのでしょうか。
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