LCRメーターの構造と試料の接続方法、測定誤差の考え方:LCRメーターの基礎知識(2)(3/6 ページ)
主に数メガヘルツまでの低周波の交流インピーダンスを測るLCRメーターについて解説する本連載。今回は、「LCRメーターの構造」「LCRメーターで表示できるパラメータ」「試料との接続」「測定誤差の考え方」について説明する
実際のテストフィクスチャやテストリード
測定対象の試料をLCRメーターなどのインピーダンス測定器に接続するために用意されているのがテストフィクスチャやテストリードである。電子部品においても形状がさまざまであるため試料に応じたテストフィクスチャやテストリードが測定器メーカーから提供されている。
しかし電子部品以外の試料ではそれぞれにあった専用のテストフィクスチャを自作することもある。その際は測定結果への影響を十分考慮する必要がある。
ここでは主に電子部品を測定する際に使われるテストフィクスチャやテストリードについて紹介する。
リード部品用テストフィクスチャ
古くからあるテストフィクスチャで部品の両端にめっきした銅線が付いているリード部品を4端子もしくは2端子でLCRメーターと接続するものである。2端子の場合は配線による誤差が生じる可能性がある。リード部品を高精度に測定する場合はリード線によるインダクタンスや寄生容量の影響を少なくするためにリード線を短くしてテストフィクスチャに接続する必要がある。またインダクタから発生する漏れ磁束の影響がある場合は磁気シールドを行う必要がある。
ケルビンクリップテストリード
大型のコンデンサーやパワーエレクトロニクス機器に使うインダクタ(リアクトル)などのインピーダンスを測定する場合はケルビンクリップテストリードを使って4端子で試料に接続する。
ケルビンクリップテストリードを使って測定できる周波数の上限は低いため注意が必要である。
チップ部品用テストフィクスチャ
リード線がない小さなチップ部品を2端子でLCRメーターと接続するものである。低インピーダンスのチップ部品を測定するための4端子接続ができるテストフィクスチャもある。
チップ部品の大きさはさまざまあり、テストフィクスチャには対応が可能な大きさの範囲が仕様で示されている。
小さなチップ部品は正しくテストフィクスチャに取り付けないと接触抵抗や浮遊容量の影響を受けて正確な測定ができない。
チップ部品テストリード
チップ部品はリード線がないためケルビンクリップテストリードを使うことができないため、ピンセット形状のテストリードが必要となる。チップ部品テストリードは2端子で試料と接続する仕組みになっている。
4端子ワニグチクリップテストリード
トランスの相互インダクタンスを測定する場合などはLCRメーターの端子からの配線を自由に試料に接続できるようにしたほうが作業は容易になる。
4端子ワニグチクリップテストリードを使って測定できる周波数の上限は低いため注意が必要である。
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