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電気二重層キャパシター(1) ―― 概要と原理中堅技術者に贈る電子部品“徹底”活用講座(52)(1/3 ページ)

今回からはキャパシターの一種である電気二重層キャパシター(EDLC)について説明していきます。EDLCは、耐圧は低い(数ボルト以下)のですがその容量はファラド(F)単位になり、大容量と言われるアルミ電解コンデンサーの数百倍から数千倍のエネルギー密度になります。

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 今回からはキャパシターの一種である電気二重層キャパシター(EDLC)について説明していきます。EDLCは、耐圧は低い(数ボルト以下)のですがその容量はファラド(F)単位になり、大容量と言われるアルミ電解コンデンサーの数百倍から数千倍のエネルギー密度になります。

*EDLC:Electrical Double Layer Capacitor 電気二重層キャパシター

電気二重層キャパシターの概要

キャパシターの原理

 図1に示すように、2枚の電極を互いに触れないように対向させると平板形キャパシターを構成できます。


図1:キャパシターの原理図

 このキャパシターの容量値をCとすれば電気磁気学の諸式によって、

1式
ε0:真空の誘電率8.85418782×10-12(F/m)  εS:比誘電率

となリ、容量Cを上げようとすればdを小さくするか、Aやε(=ε0×εS)を大きくする必要があることは容易に分かリます。
 EDLCの場合、比誘電率εSを直接論じた文献は見当たりませんが一般的には数十程度と言われ、静電容量でF(ファラド)単位を得るためには大きいとは言えません。
 ただし電極間距離dが極端に小さいこと、さらには電極に塗布される活性炭の表面積Aが桁違いに大きいこと、などの点がEDLCの超大容量をもたらしています。

EDLCとは

 EDLCは従来の電解コンデンサーとは原理の異なる新しいタイプのキャパシター(コンデンサー)で、1978年に世界で初めて松下電子部品(現パナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズ[AIS]社)から商品化されました1)

 一般にキャパシターは、図1に示すように2つの対向電極の間に誘電体(絶縁物)をはさんだ形で構成され、例えばアルミ電解コンデンサーでは誘電体に酸化アルミニウム皮膜を用いています。
 このような明確な誘電体層を持つキャパシターに対して、EDLCには明確な誘電体層がなく、その代わりに図2に示す固体電極と電解液の接触界面に形成される電気二重層という絶縁状態を誘電体の機能として利用します。これがEDLCの名前の由来になっています。
 したがって、EDLCの充放電は、正・負極の電極表面に設けられた活性炭などの表面に形成される電気二重層へのイオンの吸着、脱着を利用することになります。また表1にアルミ電解キャパシターとの主な違いを示しますが、表1から分かるように両者とも電解液を用いますので温度に起因する有限の寿命を持ちます。

表1:EDLCの比較
  EDLC アルミ電解キャパシター
電極 活性炭 エッチドアルミ箔
誘電体 なし(電気二重層が該当) 酸化アルミニウム皮膜
電解液 有機溶媒 有機溶媒

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