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直流電子負荷とは ―― 概要と用途、動作モードについて直流電子負荷の基礎知識(1)(3/5 ページ)

直流電子負荷装置の概要、利用するときの注意点、内部構造、利用事例などを分かりやすく解説する。

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直流電子負荷が使われる市場の動向

スイッチング電源

 1960年代にアメリカ航空宇宙局(NASA)の研究によって開発されたスイッチング電源は小型、軽量、高効率の特長が市場で受け入れられ広く使われるようになった。

 また、デジタル電子回路の低消費電力化を実現するためにICの駆動電圧を下げる開発が行われた。このため高速に動作するデジタル回路基板には複数のDC-DCコンバーターが配置され、デジタルICに供給する電源電圧の安定化がされるようになった。これらのDC-DCコンバーターは高速に変動する負荷に追従することができる設計になっている。

 日本国内では1994年には現在の電子情報技術産業協会(JEITA、当時は日本電子機械工業会[EIAJ])がスイッチング電源の試験規格(RC-9002A、現在のRC-9131D)を定めた。その後、一部内容は改定されているが、現在もこの規格に従ってスイッチング電源は評価されている。

 直流電子負荷装置には低電圧から抵抗と同じような挙動が求められるようになり、最近の直流電子負荷装置はゼロボルトから負荷として駆動する性能を持っているものがある。

LED照明装置

 環境意識の高まりからエネルギー効率が悪い白熱電球や有害物である水銀を含む蛍光灯などの利用が縮小して、環境負荷の少ないLED照明の拡大が進んでいる。また寿命が長く、複数のLED素子を使った高度な照明制御が可能なため自動車のヘッドランプにもLEDの採用が進んでいる。

 LEDを駆動するには専用の電源装置が必要となるため、LEDモード対応電子負荷装置の需要は増えてきている。

ハイブリッド車/電気自動車

 パリ協定で定められた環境目標を達成するために二酸化炭素(CO2)の排出が少ないハイブリッド車や排気ガスのない電気自動車は今後普及すると予測されている。電動車にはリチウムイオン電池や燃料電池が搭載されている。このため電池の特性を評価する装置やリチウムイオン電池に充電する装置の試験が必要になる。

 電気自動車に搭載されている大容量のリチウムイオン電池へ短時間で充電することが課題となっているため、今後大容量の充電器の開発が進むと期待されていて、それを評価する大容量直流電子負荷の需要も期待できる。

蓄電システム

 太陽光や風力を使った再生可能エネルギー発電は天候による変動が大きいため、需要に合わせてエネルギー供給を行うためには蓄電システムが必要となる場合がある。また天災による停電に対応するために蓄電システムを導入する動きもある。

 今後、蓄電システムの低価格化が予測されるため、蓄電システムの需要は増加すると予測される。

 蓄電システムには充電回路が搭載されているため、製品を開発する際には電池を模擬する直流電子負荷装置が必要になる。

データセンター用HVDC電源

 データセンターの大型化に伴ってIT機器への効率的なエネルギー供給システムの要求が高まっている。現在のデータセンターでは系統から交流電源を受電して、データセンター内で何度か交流と直流の変換が行われる。変換によるロスを少なくするために高電圧直流給電(HVDC)が提案されている。


図9:高電圧直流給電(HVDC)システムの仕組みとメリット 出典:「直流には直流」で、省エネを実現 電力の安定供給もおまかせ!(NEDO PROJECT SUCCESS STORIES)

 高電圧給電装置の評価には大容量の直流電子負荷が必要になる。

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