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波形パラメーターの読み取りと波形の演算初めて使うオシロスコープ(4)(2/3 ページ)

本連載は初めてオシロスコープを使う人を対象にその基本的な使い方や使用上の注意点を解説していく。今回は、波形パラメーターの読み取りと、取り込んだ波形の演算処理について説明する。

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自動測定機能を使ってパルス波形を測定するときの注意点

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 オシロスコープを使ってデジタル回路基板の波形観測をすることは多い。その中で注意が必要なのがパルス波形の立ち上がり、立ち下がりの部分の観測である。デジタルICの種類や電源の条件によって立ち上がり時間や立ち下がり時間は異なるが、ICの仕様書を見ると数ナノ秒(nS)程度である。実際のプリント基板に実装されると浮遊容量などの影響を受けて立ち上がり時間は変わるが、100MHz以上の周波数成分を持つことになる。

 オシロスコープで波形を正確に測定するためには、観測したい波形の最高周波数成分の5倍の周波数帯域を持つオシロスコープで観測する必要がある。TBS2000Bは、モデルによって異なるが周波数帯域は70MHzから200MHzであるため、ロジック回路の波形の立ち上がり時間や立ち下がり時間まで正確に観測することは難しい。組み込みソフトのデバッグを行う場合はロジック信号の波形品位の観測まで必要としないので、TBS2000Bでも十分使える範囲の測定対象は多くある。

 また、測定対象が負荷容量の影響を受ける場合は、受動電圧プローブではなく、入力容量の小さい低電圧シングルエンドプローブを使っての測定が必要である。

自動測定を使って2つの入力の位相差や時間差を測定するときの注意点

 オシロスコープを使って位相差や時間差を測定する場合は、信号源からオシロスコープまでのケーブル長やプローブ回路違いの影響を受けることから、測定前に時間差をなくすためのデスキュー(Deskew)という操作が必要になる。特にオシロスコープを使って電力を測定する場合は、1つの入力に受動電圧プローブもしくは高電圧差動プローブ、もう1つの入力に電流プローブを接続することになる。このときは専用の信号源(デスキューパルスジェネレーター)もしくはパルス発振器とデスキューフィクスチャーを使ってオシロスコープの入力間の時間差をなくすようにする。


図6:電力測定を行う際に使う専用発振器とデスキュー治具

【ミニ解説】デューティ比を制御して調光するLED照明

 波形パラメーター測定が便利に使える事例として、LED照明の調光制御がある。LED素子の駆動波形のデューティ比(Duty Ratio)を変化させて調光を実現する仕組みは下図のようになる。


図7:デューティ比を変化させてLED素子の輝度を制御[クリックで拡大]

 このような回路を使ってLEDの輝度を制御する場合は、駆動波形のデューティ比を知る必要があるため、オシロスコープの自動測定器機能を使うと便利である。

 デューティ比を変えて制御を行うほかの事例としては、ヒーターやファンモーターの制御などがあり、オシロスコープの自動測定機能が役立つ。


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