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波形画像/データの保存とさまざまなプローブ初めて使うオシロスコープ(5)(6/6 ページ)

初めてオシロスコープを使う人を対象にその基本的な使い方や使用上の注意点を解説する連載最終回。今回は、波形画像や波形データのUSBメモリへの保存方法やオシロスコープと組合せて使うさまざまなプローブについて説明する。

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電流プローブの用途と使用上の注意点

 電線に流れる電流波形を測るときに使用する。電流プローブには直流電流から高い周波数の交流電流まで測定できるものと、交流電流だけを測定するものがあるので用途に応じで選択する。

 電流プローブを使う上で注意が必要なのは、測定できる最大電流が周波数に依存することである。下記に50MHz電流プローブ(TCP0020型)の仕様に書かれている許容ピーク電流値と周波数の関係を示す。許容ピーク電流値を超えた電流を流し続けるとプローブが過熱して破損する恐れがある。


図12:電流プローブTCP0020型(50MHz、20Arms)の許容ピーク電流と周波数の関係

 電流プローブを使って小さい電流を計るときは、下図に示すようにプローブに電線を巻き付けて感度を上げる。プローブに2回配線を巻き付けると感度は2倍になる。この方法は便利ではあるが、電線の巻き数が多くなると、電流プローブが測定対象の負荷となるので注意が必要である。


図13:感度を上げるために電流プローブに電線を巻き付けた状態

 電流プローブの内部にあるコア材が測定によって着磁すると、測定結果に誤差が生じる。そのため、正確な測定を行うにはディガウスの操作をする必要があり、ディガウスを行った後にDCバランスの調整を行う。

低電圧シングルエンドプローブの用途と使用上の注意点

 低電圧シングルエンドプローブは、FETプローブやアクティブプローブとも言われており、入力の容量を小さくしたプローブのことである。TBS2000Bに標準添付されている受動電圧プローブの入力容量は12pF(代表値)となっているが、TBS2000Bに接続可能な低電圧シングルエンドプローブ(TAP1500)の入力容量は1pF(代表値)となっている。

 受動電圧プローブの入力容量の12pFは100MHzで約132Ωのインピーダンスとなり、低電圧シングルエンドプローブの入力容量の1pFは100MHzで1590Ωのインピーダンスとなる。高周波の信号では入力抵抗の1MΩより入力容量のほうが負荷に影響を与える。

 このため、高い高周波成分を含むパルスの立ち上がりや立ち下がりの波形を観測するときは、低電圧シングルエンドプローブを利用する。

 低電圧シングルエンドプローブは最大非破壊入力電圧が低いため、静電気や高い電圧を印加したときは破損する。TBS2000Bに接続可能な低電圧シングルエンドプローブ(TAP1500)の最大非破壊入力電圧は、±15V(DC+ピークAC)となっている。静電気によるプローブの破損を防ぐために低電圧シングルエンドプローブを使うときは、帯電防止リストストラップを使用することが望ましい。



転載元「TechEyesOnline」紹介

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