温度測定と仕様の見方、導通/ダイオード試験と容量測定:初めて使うデジタルマルチメーター(4)(3/7 ページ)
デジタルマルチメーターの基礎的な使い方について解説する本連載。今回は温度測定と仕様の見方および導通/ダイオード試験と容量測定について説明する。
34461Aの温度測定の仕様表現
34461Aの温度測定確度の表現は、白金測温抵抗体(Pt100)では「プローブ確度+0.05℃」であり、5kΩサーミスターでは「プローブ確度+0.1℃」となっている。
実際の温度測定では、測定したい対象物と温度センサーの関係を知らないと正しい測定はできない。温度測定で必要な主な注意事項を下記に示す。
- 測定対象の熱源がセンサーを接触させることによって冷却される
測定対象が小さなものではセンサーを接触させることによって温度が低下する。
- 測定対象の熱伝導率を考慮する必要がある
金属など熱伝導率が良いものではセンサーを接触させたのちに、短時間で測定対象の温度は均一化する。
樹脂など熱伝導率が悪いものではセンサー接触させたのちに、時間の経過があっても測定対象の温度は均一にならない場合がある。
- 測定対象へのセンサーの密着度
接触式の温度センサーで固体物の温度測定をする場合は、密着度により測定値は異なる。
- 風の影響を考慮する
測定対象に風が当たると熱が奪われて温度変化が生じる。測定の目的によっては風の影響を受けない工夫が必要となる。
- 熱源の影響
日光や熱源からの熱放射によって測定対象が温まることがあるので、測定の目的によっては日光や熱源が測定対象に影響しないようにする。
- 外来ノイズの影響
外部から電気的なノイズ影響を受けると測定値が安定しないことがある。センサーからの導線のシールドなど、ノイズが混入しない工夫が必要である。
- 導線の影響を考慮する
抵抗変化によって温度を知る白金測温抵抗体やサーミスターでは、温度センサーから測定器までの導線の抵抗による影響を受けるので、配線長が長い場合は、導線の抵抗値をあらかじめ知っておく必要がある。ただし、白金測温抵抗体を4導線式で使った場合は、導線抵抗の影響は受けない。
温度を測定するためのデジタルマルチメータの操作
34461Aにおいて温度を測定するための設定項目は、下記のように構成されている。
34461Aで利用できるのは、白金測温抵抗体(Pt100)と5kΩ(@25℃)44007タイプのサーミスターであるため、設定の仕方は抵抗測定とよく似ている。
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