38年前の記憶 〜半導体製造装置の不具合改善と闘ったあの頃:Wired, Weird(3/4 ページ)
今回は筆者が38年前に経験した半導体製造装置の不具合対応の経験を報告したい。なお、機密保持の問題があり、会社名、製品名、図面などは開示できないので、ご容赦願いたい。
第3弾の不具合――ライン数が多いシステムでは立ち上がりが遅い
ラインが少ない短いユニット構成の装置では、システムはスムーズに立ち上がったが、ライン数が多く長いユニット構成の装置では立ち上がりに5分程度かかることがあった。操作パネルにライン毎のリセットスイッチがありこのスイッチを押してライン1から順に立ち上げれば短時間でシステムが立ち上がることが分かった。しかし、この操作をユーザーに手動で実施してもらうわけにはいかない。操作パネルの中の空きコネクターに新規に設計した小型のPower On Line Reset基板を追加した。手元に残っていた試作の基板を図3に示す。もちろん、メーカーの情報は消している。
この基板は12Vのシステム電源が投入されるとライン2、ライン3をリセットし、5秒後にライン2のリセットを解除し10秒後にライン3のリセットを解除する。同時に通信するユニットの数を減らし、システムの立ち上がりをスムーズにする基板だ。この基板を追加することで、どんなに長いユニット構成のシステムでも約30秒で立ち上がるようになった。
第4弾の不具合――ユニットが時々停止する
今までの対策で装置は短時間で立ち上がり安定して稼働するようになった。だが、動作中にユニットが停止する不具合が時々発生するという連絡が入った。このシステムではラインとユニットを指定して、操作パネルで個別にリセットにできる便利な機能がついていた。恐らくこの機能が誤動作しているか、オペレーターが誤操作していると思われた。
操作方法は、ライン番号とユニット番号をパネルで設定しリセットスイッチを押す方法だが、常にラインとユニットの番号が表示されており、リセットスイッチに誤って触れると該当するユニットがリセットされウエハー処理動作が停止してしまった。
ここに不具合を引き起こす原因が隠れていると思われた。このため、『ダブルアクション』という考え方を導入した。つまりラインとユニットの表示は常時消しておき、リセット以外のスイッチを押すことでラインとユニットの表示が点灯してリセット操作が有効になるという方法だ。このソフト変更を行った結果、ユニットが停止する不具合がなくなった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.