EV制御向けの車載マイクロコントローラー:NXP S32K39
NXPセミコンダクターズは、EV制御向けの車載マイクロコントローラー「S32K39」を発表した。トラクションインバーターの制御に最適化しており、IGBTに加え、SiCやGaNにも対応できる。
NXPセミコンダクターズは2022年11月、EV(電気自動車)制御向けの車載マイクロコントローラー「S32K39」シリーズを発表した。ネットワーキングやセキュリティ、機能安全などを備え、EVトラクションインバーター制御に対応する。2023年第4四半期の量産開始を予定している。
S32K39は、EVバッテリーを直流から交流に変換し、トラクションモーターを駆動させるトラクションインバーターの制御に最適化している。従来のIGBTに加え、SiCやGaNにも対応。デュアル200kHz制御ループにより電力効率が向上し、モーターの航続距離を延長できる。
正弦波生成機能、シグマデルタコンバーターを統合
6相モーターの制御も可能で、長期の信頼性を確保する。ASIL Dソフトウェアレゾルバや正弦波生成機能、シグマデルタコンバーターを統合し、外部コンポーネントが不要になったことで、システムコストの削減につながる。
同社のリアルタイムプロセッサ「NXP S32E」と組み合わせれば、最大4つのトラクションインバーターの制御に対応。これにより、四輪駆動EV向けのトラクション機能を実装できる。
320MHzのArm Cortex-M7を4コア搭載するほか、最大6Mバイトのフラッシュメモリ、最大800KバイトのSRAMを備えた。他に、6つのCAN FDインタフェースやTSNイーサネット、多数のプログラマブルI/Oを搭載する。
また、2つのモーター制御コプロセッサと高分解能パルス幅変調により、高精度な制御に対応。ISO/SAE 21434サイバーセキュリティとISO 26262機能安全プロセスに準拠する。
パッケージは、176LPQFP-EPと289MAPBGAの2種を用意した。なお、主要顧客向けに、エンジニアリングサンプルと評価ボード、ソフトウェア、ツールのセットの供給を開始している。
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