RTCはなぜ重要? 自動化/IoT機器での重要性を探る:RTC設計講座【前編】(1/4 ページ)
本記事では、さまざまなアプリケーションにおけるRTCの役割に注目し、RTCの特徴および関連する設計上の課題について概説する。
「リアルタイムクロック(RTC)」がシステム内で目を引くコンポーネントだったことは、これまで一度もなかった。RTCがなぜ必要なのか理解できないと言うエンジニアも少なくない。彼らは、「RTCはただ時間を計測するだけの極めて単純なデバイスにすぎない」と考えているのだろう。それに加え、最近のマイクロコントローラーの大半は既にRTCペリフェラルを内蔵してしまっている。
では、なぜRTCに費用と基板スペースを割く必要があるのだろうか。スタンドアロンのRTCがいまだなくならないのはなぜか。本記事では、さまざまなアプリケーションにおけるRTCの役割に注目し、RTCの特徴および関連する設計上の課題について概説する。
かつては不可欠だったRTC
インターネットがまだ今ほど普及していなかった頃は、PC、デジタル時計、カムコーダー、自動車をはじめとする無数のアプリケーションに高精度RTCが欠かせなかった。RTCは主電源がオフになっているときでも時刻を刻み続けるのだ。RTCがなければ、ユーザーはデバイスの電源を入れるたびに時刻と日付を設定することになるだろう。
現代の電子デバイスには、インターネットやGPSへの接続機能が備わっている。ひとたび接続すれば、極めて簡単に正確な時刻を取得できる。確かに、常時インターネットに接続しているデバイスには高精度RTCはもはや不要かもしれないが、RTCを使わないということは、それだけ消費電力が増えることを意味する。
なぜ今、RTCなのか
ここ10年ほどの間にあらゆる種類(家庭用、農業用、産業用など)の自動化アプリケーションが普及し、今や無数のデバイスにインターネット接続機能が組み込まれている。セキュリティカメラ、照明、娯楽システム、家電といった日常のアイテムが、現在ではいつでもインターネットに接続できる。そしてこれらのデバイスはIoT(モノのインターネット)の一部でもある。バッテリー駆動のIoTデバイスがIoT市場の成長の大部分をけん引しているとはいえ、電源に常時接続するデバイスにはおそらくインターネット常時接続機能も組み込まれているだろう。
では、これでRTCはこれで終わってしまうのかといえば、そういうわけではない。実際、より多くのRTCがさまざまな自動化アプリケーションやIoTアプリケーションで使用されている。測候所などのリモートIoTセンサーはたいていバッテリー駆動式であり、プリセットされたスケジュールに基づいて測定を行ったり、一連のタスクを実行したりする。こうしたデバイスで無線トランシーバーを常時動作させるわけにはいかない。そんなことをすればバッテリー残量がすぐになくなってしまうからだ。
実際、エンジニアたちは常にバッテリー寿命をより長くする方法を模索していると言っても過言ではない。たいていの場合、バッテリー駆動のデバイスは(それらのマイコンでさえ)、実行するタスクがないときは消費電力を最小限に抑えるためディープスリープモードで動作している。こうしたアプリケーションでは、時々システムをウェイクアップして割り当てられたタスクを実行すればよいため、消費電力が極めて少ないRTCの使用に利点がある。
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