手厚いサポートで原因が判明 ―― モータードライバーの故障原因調査【後編】:Wired, Weird(2/2 ページ)
今回は生産中止されたダイレクトドライブモータードライバーの調査の続きだ。今回はドライバーの不良原因を特定した経緯を報告する。
代替ドライバーの動作を確認
代替のモータードライバーにモーターは接続していないが、通信ケーブルを接続してPCを使って動作確認を実施した。モニターの写真を図6に示す。
図6右のモニターは全ての項目が表示され通信は正常に行われていたが『ERR15.1 ERR15.2 Encoder ERR』が表示されていた。モータードライバーとモーターは接続していないのでこれは正常な表示だった。念のためステータスの表示も確認した。図7に示す。
図7の左上で起動時の位置決めの動作中であることが分かり、図7中央の下側に主電源異常も表示されていた。駆動電源にはAC200Vを接続していないためこれも正常な表示だった。
代替えモータードライバーのCPU基板は正常に動作していたので、不良モータードライバーのCPU基板と交換した。不良ドライバーの電源基板は修理されておりこの組み合わせが最善だろう。通電して動作を確認した。図8に示す。
図8で不良モータードライバーのRAMエラー表示は消えてエンコーダーエラーに変わった。正常なエラー表示だ。これならこのドライバーは動作可能だ。
修理の依頼先にはモータードライバーの初期設定を実施して、装置に実装し動作確認するように依頼したとこと、1カ月後に連絡があり『正常に立ち上がった』とのことだった。
メーカーの誠実な姿勢のおかげ
今回、修理完了ができたのは、事業を撤退した会社がWebに残してくれた詳細な380ページに及ぶ取扱説明書と支援ソフトと業務を引き継いだメーカーのサポートのおかげだった。製品を生産中止しても製造された製品は装置に使用されている。このメーカーは顧客サポートを考えてきちんとした仕事をする信頼できる素晴らしい会社だった。他のメーカーも、この会社の顧客サポートに対する誠実な姿勢を学んで、実践してほしいと思った。
蛇足だが、最初のドライバーのCPU基板(図4、図5)を再確認した。CPUの周辺には表面実装の電解コンデンサーが実装されていた。もしかしたらこの電解コンデンサーの劣化が不具合の原因で、これを交換すればメモリエラーは解消するかもしれない。
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