電磁気学入門(9)フォワードコンバーターのトランス設計:DC-DCコンバーター活用講座(52)(2/4 ページ)
電磁気学入門講座。今回は、降圧コンバーターの設計事例や、損失計算について解説します。フォワードコンバーターのトランス設計について解説します。
フォワードコンバーターのトランス設計
シングルエンドフォワードコンバーターの設計の第一ステップは、デューティサイクルを明確にすることです。コアはサイクルごとに消磁する必要があるので、磁化時間はリセット時間を超えてはいけません。従って、デューティサイクルは最大50%に制限されます。実際には、耐性の許容差、入力電圧と負荷の突然の変動を考慮して、ワーストケースのデューティサイクルは最大45%に制限します。これは、最小入力電圧での定常動作において通常40%程度になります。
以下の例からシングルエンドトポロジーを考察します。先の降圧コンバーター設計と同じ基本仕様を使います。
- 入力電圧:9〜14VDC
- 出力電圧:5VDC
- 出力電流:1A
- 出力電圧リップル:100mVp-p 最大
- スイッチング周波数:120kHz
- 動作温度:周囲温度0℃〜+85℃
CCM動作に関しては、降圧コンバーターと同じデューティサイクルの算出式を使い、トランスの巻き数比によって少し変更します。
一次側巻き線の巻き数は、以下の式から求めます。
ほとんどの10WパワーフェライトコアのBsatは200〜500mTです。全温度範囲の変動を含んだ0.3Tの動作磁束密度においても飽和しない、最大磁束密度0.4T程のコアを選択します。
有効断面積Aeはコアの形状寸法に依存するので、そう簡単に決まりません。一次側巻き数を決めるにはコアの形状寸法を知る必要がありますが、巻き数が分からなければ適したコアを選ぶことができないというループにはまります。
しかし、これは低電力コンバーターの設計で、3つの巻き線(一次、リセット、二次)が必要なことから、サイズに対して大きな巻き線領域をもった小型のコアが有用です。例えば、ポットコアなどです。P9/5サイズのポットコアが適当な選択でしょう。このコアの仕様を以下に示します。
タイプ | Ae | Bsat(@25℃) | 径 | 高さ |
---|---|---|---|---|
P9/5-1S | 10.1mm2 | 450mT | 9.5mm | 5.4mm |
コア |
タイプ | 巻き線領域 | 巻き線幅 | MLT | ビルド高さ |
---|---|---|---|---|
CP-P9/5-1S | 3.1mm22 | 2.5mm | 18.9mm | 1.28mm |
ボビン |
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