検索
特集

ゾーンアーキテクチャとイーサネットが自動車の将来を推進新機能採用やソフトウェア定義型自動車など(2/4 ページ)

自動車の新機能採用やソフトウェア定義型自動車(SDV)などの成長中のトレンドを実現するために必要なゾーンアーキテクチャおよびイーサネットについて解説します。

Share
Tweet
LINE
Hatena

ゾーンアーキテクチャの帯域幅要件

 自動車でイーサネットを使用することの価値を理解するために、アプリケーションごとにイーサネットの使用状況を分類します。新しく定義されたシングルペアイーサネット(SPE)は、IEEE 802.3cg(10Mbps)、IEEE 802.3bw(100Mbps)、IEEE 802.bu(1Gbps)およびIEEE 802.3ch(10Gbps)によって定義される10Mbps〜10Gbpsの速度をサポートします。これらの新しいイーサネットテクノロジーはいずれもシングルペアケーブルを使用して動作し、最大15mの距離で通信を実施することができます。この距離は、自動車内で最長のリンクを網羅するのに十分な長さです。また、イーサネットでは、IEEE 802.1ASタイムスタンプ機能を使用してセンサーデータの時間同期を実現し、待ち時間を短縮することもできます。

 イーサネットは高速通信を実現できますが、高速通信はあらゆる状況で必要とは限りません。例えば、ドア制御モジュールや暖房、換気、空調システムとの通信では、100Mbpのデータレートは必要ありません。10MbpsイーサネットPHY、または、CAN(Controller Area Network)などの代替ネットワークプロトコルは、低速で、帯域幅の消費が少ないユースケースに適しています。しかし、集約されたカメラデータと自律運転センサーデータをゾーンモジュールからセントラルコンピューティングシステムに送信するために、高速通信を確保するケースはより適しています。

図2:ゾーンアーキテクチャ内で異なる速度のイーサネットを使用するケース
図2:ゾーンアーキテクチャ内で異なる速度のイーサネットを使用するケース[クリックで拡大]

 次に、レーダー、LiDAR、カメラ、ボディーのアプリケーションで使用される通信速度について解説します。通常、レーダーSoC(System on Chip)がLevel 1のデータを処理する場合、ゾーンモジュールとレーダーデータを通信するためにCANを使用します。未加工データをセントラルコンピューティングシステムに送信して処理を進めると、さまざまなレーダーセンサーのセンサーフュージョンを通じて、より多くの情報を抽出できます。大量の未加工データを送信するには、より高い帯域幅が必要になるため、レーダーとLiDAR内で100Mbps〜1Gbpsのイーサネットのためのスペースが確保できます。

 カメラにとって、一定レベルのADASデータが増加したことでフロントカメラからの未加工データ全てを後処理する必要がある場合、FPD-Linkが最適なプロトコルです。

 フロントカメラから取得したデータを圧縮できる場合で、このような高レベルのADASデータは必要ない場合、100Mbpsイーサネットを代わりに使用できます。

 ドア、ハンドル、センサー、ウィンドウ、リフト制御モジュール、サイドミラー制御モジュールのようなボディードメインモジュールは従来、高帯域幅を必要としないので、CANとLIN(Local Interconnect Network)の各プロトコルを使用して通信を実施してきました。設計者は、車内のイーサネット使用量の増加に伴い、CANとLINだけでなく、10Mbpsの10Base-T1マルチドロップイーサネットも使用できるようになりました。イーサネットは従来、ポイントツーポイント(Point to Point)トポロジーを採用していましたが、10Base-T1Sイーサネットは、バストポロジーを使用して機能する初のイーサネット規格です。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る