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ステップアップ形DC/DCコンバーターの設計(4)リップル電圧の図式解法/キャパシターの要求特性たった2つの式で始めるDC/DCコンバーターの設計(11)(4/5 ページ)

今回は、チョークの仕様の妥当性とともにリップル電圧の図式解法、キャパシターの要求特性について説明します。

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キャパシターの要求特性

 キャパシターC1の注意事項は既にステップダウンコンバーターの章で説明しましたのでここでは要点のみを列挙します。

  • 湿式アルミ電解コンデンサーの場合
    • 缶サイズの大きい品種ほどESRは小さくなります。
    • 同一定格でも低背品ほどESRは大きくなる傾向にあります。
    • 缶サイズを大型化するよりも小型品を並列使用する方がリップル電圧を良化できる時があります。
  • 固体キャパシターの場合
    • 積層セラミックキャパシター(MLCC)、導電性高分子キャパシターなどの低ESR[1]品を使った場合のリップル電圧は理論値に近づきます。
    • コンバーターの定電圧制御ループの安定性を確保するために低ESRのキャパシターとインダクターでLCフィルターを構成し、制御のループの外部につける。
    • 上記の裏返しになりますが、湿式アルミ電解コンデンサーでは異常発振していなかった制御ループがキャパシターC1の置き換えで不安定なることは時としてみられます。代替品に置き換える場合にはこのような観点も必要になります。
  • 近年の技術進歩により小型DC/DCコンバーターでは1MHzの周波数が実用の域になり、高周波特性に優れたMLCCなどのキャパシターの使用が主流になっています。
    この周波数域ではESRよりも基板や部品の残留インダクタンスがリップル電圧に影響を与えるようになってきます。計算値から数倍も離れた値になる場合には等長配線や誘導磁束のキャンセル、Leを減らす最短距離配線など部品レイアウトを見直してください。
  • リップル電流

 キャパシターC1の元の電流波形は図2に示すように鋸歯状の波形ですがその波形は図5に示す各成分に分解できます。最初にそれぞれの成分の実効値を二乗の形で求めます。

図5
図5:キャパシター電流の成分分解

①Ir(ON)2=Io2×δ

②Ir(OFF)は充放電電荷のバランスを元に計算します。
Ioff×(1−δ)=Io×δ⇒Ioff=Io×δ/(1−δ)
 ∴Ir(OFF) 2=Ioff2×(1−δ)=Io2×δ2/(1-δ)

③三角波()領域の成分Ir(C)

式C

④総合のリップル電流Irは各成分の二乗和の平方根です。

6式

 6式を見るとキャパシターのリップル電流Irは出力電流IoとΔIpに影響されることが分かります。
 一例としてL=100μH、δ=0.33、ton=3.3μs、Vcc=10V、Io=0.67A時のリップル電流を計算します。
  ΔIp=Vcc/L×ton=10/100μ×3.3μ=0.33A
   ⇒Ir=√(0.672×0.33/0.67+0.332/12×0.67)=0.477Arms
この値はシミュレーションで得られた0.477Armsと誤差の範囲で一致しています。

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